日刊スポーツでは、本日からジュビロ磐田MF中村俊輔(39)の特別インタビューを「今もシュン(旬)」と題して、全3回で掲載する。第1回では、今年、40歳を迎える思いを語っている。「体の変化」は感じているが、それにあらがうべく、オフの間もサッカーを忘れず、体と頭を動かしていたことを明かした。

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 中村が、プロ22年目のシーズンに向けて動きだした。6月24日には40歳になる。昨季も変わらぬ運動量、技術、戦術眼で魅了し続けた。その中で、中村自身はこの節目の年齢をどう考えているのか。

 「あまり特別な意識はないよ。ジダンも34歳で引退しているし、節目はもう通り越したから(笑い)」

 一方で、体の変化は感じていた。

 「自分の体にはアンテナを張って、過敏になっている。追い込んだ後の超回復も緩やかになっているし、調整の仕方が難しくなっているね」

 だからこそ、オフの間も体と向き合った。毎日のように、横浜市内で汗を流した。昨季は30試合に出場。開幕前に名波浩監督(45)が「希望」として示した出場28試合を上回った。それでも、納得できなかった。昨季終盤には「足首の痛みを引きずってしまった」と漏らしていた。

 「100%に近い状態でやれた試合は、ほとんどなかったから…。だから、オフ中はボール蹴るのを我慢して、ランニングシューズで芝生の上を走ることがほとんどだった。痛みを減らしただけでは、また同じことを繰り返してしまうからね。そんな中で、しっかりと強化はできた。状態は良いと思うよ」

 頭の中も整理した。自身のプレー集や磐田の昨季リーグ戦、J2、海外リーグ。あらゆる試合の映像を見続けた。

 「見るざんまいで大変だったよ(笑い)。振り返ると、自分がパスを出した後に川又(堅碁)やアダ(イウトン)が動きだしていたり、『もうちょっと俺が我慢していたら、そっちの選択もあったな』という場面があった。選択を早くしたばかりに、FWにもったいないことをした場面もいっぱいあった。反省だね」

 昨年12月3日。オフ初日から、誰もいない大久保グラウンドで1人、ボールを蹴った。前日2日の最終節ホーム鹿島戦(0-0)で、好位置でFKを外したことが理由だった。

 「あの(外した)感覚のままで終わったら、ずるずる引きずると思って。ダウンも兼ねてね。安定剤みたいなものだよ。ただ、自分のタイミングでグラウンドが使わせてもらえる環境がすごくありがたい。信頼されて信頼して、敬意を払ってもらえて。スポーツを全うできる環境があるのは、当たり前ではない。それがあるだけで十分だよ」

 16年オフに「純粋にサッカーがしたい」と愛着ある横浜を離れ、移籍を決断した。磐田で過ごした昨季は、そんな当たり前の感覚を感じられた1年だった。自分自身の成長、チームの成長のために、サッカーと向き合う。その姿勢は、40歳を迎える今季も変わらない。【前田和哉】

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 明日18日の「今もシュン(旬)」第2回では、昨季の結果を振り返りながら、選手として持ち続ける理想像などを語っています。