天皇杯王者セレッソ大阪が、昨季のJ1覇者川崎フロンターレに3-2で競り勝って初優勝を飾った。前半26分に新主将のMF山口蛍(27)が先制ゴールを決め、後半3分にMF清武弘嗣(28)が追加点、2ゴールともFW杉本健勇(25)がアシストした。ロシア候補生トリオがW杯イヤーに好発進した。川崎Fは途中出場のFW大久保嘉人(35)が復帰初ゴールも及ばなかった。25周年を迎えるJリーグは23日に開幕する。

 新主将が放ったC大阪の先制弾は、芸術的な“崩し”から生まれた。右サイドのMF山村から中央のFW杉本へ。そのヒールパスを待ち構えた山口がズドン! 川崎Fの得意とするパスサッカーで主導権を奪い、ゴールを決めた。前半26分で深いダメージを与え、主導権を渡すことなく押し切った。

 「自分たちのやりたいことができた。(先制点も)いい流れで自分のところにきた」と山口は言った。初タイトルとなるルヴァン杯と元日の天皇杯の2冠を手にした昨季の主力が全員残留。キャンプで熟成され、J1王者を蹴散らした。

 唯一の変化は、柿谷から山口への主将交代。勝負のW杯ロシア大会イヤーに、山口はあえて責任を背負った。「ピッチ内ではそうだが、それ以外ではみんなが助けてくれる」と言うが舞台裏では違う。新加入の選手が初めて練習に合流した時、クラブハウス内で積極的にいじり回して、和ませた。FW安藤が「意外でした」と驚いたほど。寡黙なイメージが強い男が、積極的に融和を図った。

 その中で日本代表復帰を狙う清武も、存在感を示した。後半3分、うまく抜けだすと杉本が頭で競り落としたボールで2点目を決めた。その杉本と激突して後半19分に交代。「首を持っていかれた」と笑い話で終わったのが幸い。昨年末に左足首を手術し、70日ぶりの公式戦を2アシストで飾った杉本も「相手より気持ちが入っていた」と上々の復帰戦に手応え十分だ。

 14日にはアウェーで済州(韓国)とのACL初戦を迎える。「(厳しい日程も)楽しみながらやりたい」と杉本。ロシア候補生が結果を出しての戴冠発進となった。【実藤健一】