攻めに攻めた。鹿島アントラーズが放ったシュートは21本。上海申花(中国)の12本を大きく上回った。

 ボールも支配し続けた。だが、あと1点が入らない。後半アディショナルタイムにはDF内田篤人が、あるいはMFレオ・シルバがゴール前でチャンスを迎えるも、ゴールネットを揺らせない。内田は「よくある試合ですね。何回かビックチャンスがある中で、1本が入らないというのは」と苦笑いした。ホームで勝ち点3を奪えなかった。

 前半立ち上がりの4分に、警戒していたコロンビア代表MFモレノに頭で決められて先制を許した。序盤は地に足がつかず、何度か危ない場面を迎えた。

 それでも落ち着きを取り戻すと、ボールはほぼ支配した。後半6分にはFW鈴木優磨の強烈な左足のシュートをGKがはじき、詰めたMF遠藤康が体で押し込んで追いついた。中を固める相手に、右の内田と左のDF安西幸輝が果敢に押し上げて、クロスを送り続けた。だが、内田の言うように、1本が入らない。鈴木は「多くチャンスをつくれたが、決めきれなかったのがこの試合の結果です」と自分を責めた。

 今季の公式戦初戦で勝ち切れなかった。それでも、内田の顔に悲愴(ひそう)感はなかった。「こんなに一方的(な試合)になるとは思っていなかった。ボールもよく回っていたし、いい準備ができたからこういう試合ができたと思うので、やっていることは間違っていない。あとは結果につながれば…ですね」。

 ホームで得た勝ち点は1だったが「後々『ああ、あのときな』と思うのか、気にせず次に行けちゃうのか、それはこれからの頑張り次第。でも(方向性は)間違っていない。絶対間違っていない」。内田はそう、強調し続けた。