「ミシャ札幌」のシーズンが、いよいよ幕を開ける。北海道コンサドーレ札幌は今日24日、サンフレッチェ広島との開幕戦に臨む。今季から指揮を執るミハイロ・ペトロビッチ監督(60)以下、チームは試合前日の23日、広島市内で最終調整を行い、準備を整えた。ペトロビッチ監督にとって日本では3チーム目となる札幌での初陣は、かつて率いていた古巣との対戦となる。

 初陣まで、24時間を切っていた。ペトロビッチ監督は、開幕戦のキックオフと同時刻からスタートした前日練習でも、手綱を緩めない。9対9のミニゲームでは、最後まで選手に動きの指示を出し続け、声をからした。「とにかくいいプレーをして欲しい。自分たちはやるべきことを全力でやるだけ。大事なことはピッチの上で全力を尽くすこと」。開幕戦に送り出す選手たちに、期待と願いを込めた。

 相手は06年から6シーズン指揮を執った古巣、広島。「いつも懐かしい気持ちになる」と、思い出に浸りつつも「試合は試合。プロの世界だから全力を尽くして勝たなくてはならない。気持ちで負けることなく、全力で戦いたい」と迷いはない。昨季は札幌11位に対して15位だったが、相手も今季新指揮官の下、生まれ変わった。「素晴らしいチームだ」と、リスペクトの気持ちを忘れずに戦うつもりだ。

 長期キャンプを乗り越えた。この日でキャンプ40日目。自身が掲げる攻撃的サッカーの浸透を目指す日々だった。なかなか連係がはまらず、練習試合で勝てないこともあった。「うまくいった時期も、そうでない時期もあった」と振り返り「だけど全員が明日のゲームに向かって、非常に努力してくれた」と選手、スタッフに感謝した。

 自身は苦痛と闘っていた。大の飛行機嫌い。広島時代に東北への移動でチームが空路でも、自身は新幹線での陸路を選んでいたほど。北海道から沖縄、米ハワイ、そして熊本という長距離移動はつらかった。だが、ハードな練習をこなす選手を前に、弱音は吐けない。自身もただ、耐えるだけだった。

 やれることはやった。だから、口にはしないが自信もある。「これまで取り組んだことがしっかり出せるか出せないかは、明日の試合になったらわかる」。出身のセルビアでは、ミハイロという名は、小さい頃から「ミシャ」と呼ばれる。日本で12年連続、指揮を執ることになった名将は、岡田武史元監督(61)が率いた01年以来のJ1開幕戦勝利で「ミシャ札幌」1年目のスタートを切る構えだ。【保坂果那】