負けられない特別な一戦で終盤に意地を見せた。11日に東日本大震災から7年を迎えるベガルタ仙台はホームの大声援を受け、後半41分にFW石原の2試合連続のゴールで追い付いた。相手の堅守をこじ開けた殊勲の背番号11は、両手を広げて喜び「諦めずに勝ち点1が取れて良かった」と頬を緩めた。

 阪神・淡路大震災を経験したヴィッセル神戸との「復興応援試合」。前半27分に先制を許したが押し気味の展開だった。何度も攻撃がはね返されてサポーターのため息が続き、今季初黒星がちらついた終盤、ゴール前でFWジャーメイン良がMF菅井の右クロスを相手DFと競り合う。その裏に転がった球を「こぼれると信じて詰めた」と狙っていた石原が右足で押し込んだ。

 昨年は震災後初めてホームで迎えた3月11日の試合に敗れた。勝利を意識しすぎて硬くなった反省から、渡辺監督は「伸び伸びやってこい」といつもより短い言葉でピッチに送り出したという。

 開幕3連勝こそ逃したが、無敗の好スタート。渡辺監督は復興に励む人々に思いをはせ「ひた向きに戦う姿勢で、心を動かすものを届けられたかなと思う」とホッとした表情だった。