柏レイソルFW伊東純也(25)は、ヴィッセル神戸戦で後半に2発決め、チームを勝利に導きながら、満足していなかった。試合後、取材陣からベルギー遠征のメンバーから漏れた日本代表について話を向けられる中で「選考に選ばれるところまでいきたい」、「結果を出していくしかない」と代表への思いを吐露した。

 伊東は試合後のミックスゾーンで「ベルギーに遠征した日本代表の試合を見たなら、言いにくいでしょうが率直な印象は?」と聞かれると「いやっ…特にはないですね。まぁ…でも、自分が入ったからといって、変わったとは思わないですけど」と、苦笑交じりに言葉を濁した。

 「なぜ『変わったとは思わない』と思うのか?」と別な記者から質問が飛ぶと、表情にやや変化があった。「まぁ…何となくです」と答えた刹那に「変えたいとは思わないんですか?」と、たたみ掛けるように聞かれると「変えたい? いや、まぁ…そうですね。まずは選ばれてからだと思います。Jリーグで結果を出して、ACLでも結果を出して、選考に選ばれるところまでいきたいと思います」と口にした。

 後半23分、自陣からのボールをハーフウエーライン右で受けると、ドリブルで約35メートルを独走し、DF2人を振り切ると、左足でゴール左隅にたたき込んだ。「シュート練習で1番、多く練習している形だった。ファーに速いボールを蹴ろうと思った。GKもDFで見えていないと思って、思い切り蹴った」。練習を結果に結び付けた。

 直後の同29分に同点とされ、迎えた後半41分。途中出場のFW山崎亮平とポジションを変えて左にいた伊東は、右サイドを抜け出したDF小池龍太のパスを受けた山崎が、右足で放った強烈なシュートをGKキム・スンギュが弾くと、こぼれ球を右足で蹴りこんだ。「最初、クロスに入ろうと思った。こぼれ球に反応できて良かった」と振り返った。

 5月14日のW杯予備登録(35人)前最後の代表の活動となったベルギー遠征は、1分け1敗で終わった。同31日に発表される見通しのW杯に臨む23選手の発表前最後の試合は、同30日のガーナ戦しかない。伊東にとって、アピールの場は柏での公式戦しかない。

 幸い、4月はリーグ戦とアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を合わせて8試合と試合が多い。そこに全てをかける。「やっぱり、結果を出していくしかないと思うので。目に見える結果を出して、選ばれるように頑張りたい。4月に試合が多いので1試合、1試合、大事にして連勝して、結果を出して目立つようにしたい」。最後は代表への思いが、口をつくように出た。【村上幸将】