アルビレックス新潟は今季初の連勝を逃した。ロアッソ熊本に1-3と、今季最多失点で敗れた。唯一の得点はPK。後半28分、途中出場のルーキーFW渡辺新太(22)が果敢な突破からペナルティーエリア内でファウルをもらい、それをDF安田理大(30)が決めた。新潟はこれまでの4-4-2から3-6-1にシステムを変更して臨んだが、白星にはつながらなかった。

 相手を慌てさせた。「1つのプレーから流れは変わる。自分が変える」。そう決意していたFW渡辺新が熊本の脅威になった。

 後半21分、MF坂井大将(21)に代わってピッチに入った。その7分後、MF戸嶋祥郎(22)のクロスに合わせて、ペナルティーエリアの左サイドに進入。ワンタッチして前に出したボールを熊本MF田中達也(25)と競り合った。「先に触れば相手の足がかかる」。一瞬早く左足で蹴ったところでスライディングに遭ったが、倒れながらも心の中では「狙い通り」とほくそ笑んだ。

 「蹴りたかった」というPKは、練習時からの決め事で安田の番。「安田さんに目でアピールしたんですけど、ジェスチャーで『ボールをよこせ』って。譲ってくれるかと思ったんですが…」。プロ初得点の最大のチャンスは巡ってこなかった。ただ、「得点に絡む」という仕事はした。

 これがリーグ戦3試合目の出場。いずれも後半途中から。「何かしてくれるかも、という(自分への監督の)期待を感じる」と渡辺新。鈴木政一監督(63)の視線を意識しながら、1分、18分、そしてこの日の24分と出場時間を延ばしてきた。システム変更直後の敗北の中、その存在はチームの収穫だった。

 鈴木監督は「後半はボールを支配する時間が長く、動かすことができた。今の距離感はいい」と3-6-1のプラス要素を話した。熊本に裏を取られたところから失点を重ねた。「近くに味方がいる分、アバウトになった」(鈴木監督)とお互いを気にしすぎて、守備の隙ができた。それでも「修正点は分かった。次につながる」と4-4-2には戻さなかった。渡辺新が示したように、手ごたえもあったからだ。

 渡辺新も「飛び出す攻撃はできた。できなかったところを改善すればいい」。次節(8日)岡山戦で勝ち点3を挙げ、成果を見せる。【斎藤慎一郎】