40歳の横浜F・マリノスDF中沢佑二主将が、川崎フロンターレ戦の後半16分に今季初得点を決めた。CKから頭で合わせ、1-1に追いついた。40歳1カ月14日でのゴールはJ1歴代4位の年長記録。DFながらジーコ、カズ(三浦知良)、中山雅史という豪華メンバーに続いた。

 苦境を打開したのは代名詞のボンバーヘッドだった。前半から押し込まれ、後半13分に先制を許した3分後。中沢がFWユンの右CKに頭で合わせた。相手選手に当たり、コースが変わってゴール右へ。練習を重ねてきたセットプレーで狙い通り決めた。「枠に入れることだけ考えた。いいボールがきたので決めなければいけないなと」。照れくさそうに笑った。

 6戦目で対峙(たいじ)した昨季王者は強かった。今季から掲げている最終ラインを高く保ってボールを支配する戦術を攻略された。MF大島、中村といった屈指のMF陣にパスで翻弄(ほんろう)され、両サイドの裏のスペースを幾度も突かれた。あわや失点の場面も少なくなかった中、なんとか粘った末の同点弾。「どんな形であれ、点を取れてよかった」。40歳を迎えて主将を務める大黒柱が、苦戦したチームに勝ち点1をもたらした。

 かつて日本代表でも主将を務め、110試合に出場した中沢も今年でプロ20年目、40歳を迎えた。この日でリーグ通算577試合出場、最多連続フル出場記録163。ともにフィールド選手歴代最多を更新し続ける。試合後は決まって最後に控室を出る。ケアにかける時間が長くなったが、この日はカズらに続く1発で、また1つ希少な選手であることを証明した。

 次戦は今季絶好調の広島と敵地での対戦。「なんとか勝って、連戦を乗り切りたい」と精悍(せいかん)な顔つきで話す40歳が、力強く横浜を引っ張る。【岡崎悠利】