浦和レッズがエースFW興梠慎三(31)の2得点で清水エスパルスを2-1で下し、大槻毅暫定監督(45)の就任からリーグ戦3連勝とした。興梠はリーグ戦今季初の複数得点で、清水相手の公式戦は直近8戦8発で無敗とキラーぶりを見せつけた。開幕から5戦勝ちなしで一時は降格圏の17位まで転落した昨季のアジア王者が、一気に巻き返しを図る。

 エース興梠が待望のエンジン全開だ。前半23分、MF菊池の左クロスに頭で合わせて先制点。6分後、今度はMF橋岡の右クロスに再び頭で合わせた。何度も両手拳を力強く握った背番号30は「個人で打開するタイプじゃない。後ろからつないでチームで取った点」と仲間に感謝した。

 身長175センチと上背はない。それでも「動き直したり工夫すれば(DFを)外せるので」と、いずれもマークに付いた相手の背後から走り込んで仕留めた。180センチ超の選手が並ぶ清水の守りも苦にしなかった。熟練の技を光らせ、リーグ通算得点も歴代7位タイとなる124へ積み上げた。

 昨季はキャリアハイとなる20得点を記録し日本代表にも選ばれた点取り屋も、今季はここまで7試合で2ゴール。本来の姿ではなかった。エースの不調に呼応したかのように、チームも不調に陥った。開幕から5試合で2分け3敗とつまずき、堀監督が解任。副主将を務める31歳は「(解任に)追い込んだのは選手の責任」と失意を味わった。「後半の立ち上がりで失点すると苦しくなってしまう。もう少しうまくやらないと」。上位を破っての3連勝にも満足しない口ぶりに、再浮上への強い気持ちがにじんだ。

 日本代表はワールドカップ(W杯)まで約2カ月しかない段階で監督を交代したが、「(W杯は)自分の目標としているところではない。代表のことは全く考えていない」ときっぱり。強い浦和の復活だけを求め、厳しい連戦をこなすチームをけん引する。【岡崎悠利】