清水エスパルスがホームで262日ぶりに勝った。柏レイソルに2-1で今季2度目の2連勝。前半38分にFW鄭大世(34)が、右CKからヘディングで先制点を決めた。開幕から控えに甘んじてきたが、今季リーグ戦初ゴールを挙げ、同点で迎えた同41分にはFW北川航也(21)が勝ち越し弾。昨年8月9日C大阪戦以来13試合ぶりのホーム勝利で、順位は11位から暫定7位に浮上した。

 勝利を告げる笛が鳴った瞬間、鄭はピッチに座り込んだ。「やっと勝てた…」。喜びをかみしめて顔を上げると、目の前に最高の景色が広がっていた。オレンジに染まったスタンドは揺れ、ピッチ中央では選手同士が抱き合っていた。1人遅れて整列に加わると、仲間の手荒い祝福を受けた。「苦しい時もあったけれど、今日みたいな日をずっとイメージしていた。勝てて良かった」。

 意地の1発だった。前半38分。右CKのチャンスで集中力を高めていた。「先発で出れば、絶対に結果は残せる」。MF金子翔太(22)が上げたボールに飛び込み、ドンピシャヘッドをたたきつけた。今季のルヴァン杯では、頭で2ゴール。リーグ戦では今季初ゴール、チーム今季初のCKからのゴールも頭で決めた。

 昨季までのエースが、今季は控えFW。クリスラン(26)の加入と北川ら若手の台頭もあり、出番が減っていた。「分かっていても、1人で考え込んでしまうこともあった」。ルヴァン杯で結果を残しても、リーグ戦に絡めないジレンマを抱え、「もうダメなのかもしれない。引退の2文字が頭をよぎった」と明かした日もあった。

 それでも、練習から全力プレーを心掛け、少ない出場時間でチームのために体を張り続けた。今季リーグ2度目の先発で決めた初得点が、ホーム13戦ぶりの白星を呼び込み、チームは今季2度目の連勝。ヒーローインタビューでも自分の感情を抑えて言った。

 「連勝が大事。ここから上昇気流に乗っていきたいです」

 次はアウェーで首位の広島と対する。3連敗からの2連勝で鄭も復活。この勢いで勝ち点3を狙う。【神谷亮磨】