Jリーグで唯一、勝ち残る鹿島アントラーズがホームで上海上港(中国)を3-1で下して先勝した。前半43分にFW鈴木優磨(22)がCKからのこぼれ球を詰めると、後半4分にもCKからDF西大伍(30)が追加点。鈴木の突進からオウンゴールで3点目も奪った。鹿島は6度目の決勝トーナメントで初めて先勝した。初めての初戦突破を懸け、16日にアウェーの第2戦に挑む。

 喜ぶ姿はほとんどなかった。鹿島の歴史で、ACL決勝トーナメント第1戦で先勝したのは初めて。だが、勝利を告げても、誰も気持ちは切らせなかった。「まだ前半戦だから」。終わってはいない-。DF昌子が全員の思いを代弁した。

 歴史を変える-。勝利への思いはCKの数に表れた。前半だけで6本。その6度目で最初の歓喜が生まれた。前半43分の左CKに昌子が飛び込む。入ったかに見えたボールはGKにはじき出されたが、鈴木が押し込んだ。「前半に主導権を握れて、あとは得点が欲しい中で、最後のいい時間帯に取れたのが大きい」。

 勢いのまま折り返した後半4分には再びCKからDF西が押し込むと、後半27分すぎからは反対に、守りで6連続CKを迎えた。これをしのいだ直後の30分に、DF安西のクロスに鈴木が詰めてオウンゴールを誘発。まさに「CK劇場」で、貴重な3点を奪った。

 過去5度の決勝トーナメントで全てはね返された初戦の壁。昨年も広州恒大(中国)に、第1戦で負けて迎えたホーム第2戦で競り勝つも、アウェーゴールの差に泣いた。上海上港とのホームでのこの試合には、途中出場も含めて当時の悔しさを知る9人が先発した。「先勝がどれだけ大事か」(昌子)を知っていた。

 後半32分にアウェーゴールは許した。ただ、昌子は「3-2にならなくて良かったと思うか、1点はいらなかったと思うかでメンタルが左右される。オレは3-1で良かったと思いたい」。勝負のアウェー第2戦へ、ポジティブに臨む。鹿島の負の歴史は変わり始めている。【今村健人】