横浜F・マリノスとJ2横浜FCの横浜ダービーは、延長戦の末、マリノスに軍配が上がった。横浜FCはJ1相手にジャイアントキリングを狙ったが、あと1歩、届かなかった。

 横浜FCのFWカズ(三浦知良、51)と横浜のDF中沢佑二(40)。ともに先発した両主将の合計年齢が91歳だが、ピッチでは火花を散らした。カズは中盤からスルーパスで好機を演出した。守備でもみせた。横浜GK飯倉大樹(32)がシュートキャッチから、W杯ロシア大会のベルギーをほうふつさせるカウンターを発動しようとしたが、察知したカズが飯倉の前に立ちはだかり、飯倉の手からのパスコースを阻止。マリノスサポーターからブーイングを浴びる一幕もあった。

 カズは後半27分までプレーし交代した。その直後に追いつかれ、ベンチから味方を鼓舞し続けたが届かなかった。カズは「勝たないとね。みんな最後まで頑張りましたし、延長戦でも最後チャンスありましたし。でも、こういう試合を勝たないとね。1-0で勝っている時もそうですけど、もうちょっと自分たちでやり方があるのではと思います」と悔しさをにじませた。

 カズにとって07年以来のダービー。「当時のダービーでいたのは僕と中沢ぐらい」と苦笑し「また中沢ともやれてよかった。素晴らしいレベルのチームとやれて良い経験にはなったけど、勝たないと自分たちも強くはなっては行かないんじゃないかと。W杯と同じ」と振り返った。

 横浜の高速カウンターを阻止した場面については「(スタッフから)GKから攻撃が始まる。カウンターが速いと言われていた。少しでも遅らせたら後ろが楽になると。ブーイングも気持ちいいですね。いいですね、ああいうのは」と話した。

 敗れはしたが、横浜FCの若手選手が、J1相手に好勝負をしたことに、カズは「W杯を見て、スポーツの根本は戦術が進歩しても気持ちの部分が大事とあらためて感じた。自国のリーグが強くならないと、代表チームの底上げにはならない。今日みたいな試合を若い選手が経験できたのは大きい」と手ごたえを口にしていた。