J2徳島ヴォルティスから7月に完全移籍で加入した、湘南ベルマーレFW山崎凌吾(25)が、柏レイソル戦でJ1初ゴール、そして自ら獲得したPKを決める2ゴールの活躍でチームを勝利に導いた。

 徳島から7月2日に加入した山崎は、出場が可能となった22日のヴィッセル神戸戦に続き2戦連続で先発した。前半2分、DF杉岡大暉(19)がDFをかわしてペナルティーエリア左から放ったシュートをGKが弾くと、こぼれ球を冷静に右足で押し込んだ。「杉岡選手がシュートを打つと思った。そんなに焦ってはいませんでした。どんな形であれ、何でも良いから1点が欲しかった。うれしかった」。

 後半37分には、ペナルティーエリア右でDFパク・ジョンスに倒されてPKを獲得すると、自ら志願して左足でゴール左に決めた。「セカンドボールに反応できて、相手に引っかけられた。自分でもらったPKだったので、譲る気もなかったし、蹴らせてもらいました」。

 福岡大時代の13、14年にサガン鳥栖の特別指定選手となり、14年4月2日のナビスコ杯(現ルヴァン杯)鹿島アントラーズ戦(1-3敗戦)で“プロデビュー”。15年に加入も、同年のリーグ戦の出場は7月29日の鹿島戦1試合のみで出場時間も1分にとどまった。「体も張れなかったし、J1でやれるレベルに達していなかった」と翌16年に徳島に移籍し、40試合に出場し5ゴールを挙げた。

 17年にスペイン人のリカルド・ロドリゲス監督と出会うと、ショートカウンターを軸に人もボールも動く同監督の攻撃サッカーで能力が開花し、34試合に出場し14ゴールを決めた。今季も徳島のJ1昇格を目標に戦ってきたが、鳥栖でJ1に通用しなかった悔しさがあり湘南からのオファーに移籍を決断。「徳島に行った時点で、やれるんだというところを見せたかった。サッカー選手として上のレベルでやりたかった。お話をいただいてうれしかった。徳島ですごく成長させてもらったから再び挑戦できた」と、徳島に感謝しつつJ1再挑戦を決めた。

 7年目の曹貴裁監督(49)が作り上げた、縦に速く人が人を追い越す攻撃サッカー“湘南スタイル”は、外から移籍してきた選手には適応が難しいとも言われるが移籍2戦目で早くも結果を出した。その裏には、かつて湘南でプレーした徳島MF岩尾憲とGK梶川裕嗣の存在があった。移籍の際は2人に相談し“湘南スタイル”の特徴を聞いた。「2人がいた時から変わっていないと思うので、どういうサッカーか聞きましたし、チームのために走る、体を張る自分の良さを、素直に生かせるチームだと思いました」。

 この日は、ともに昨季、徳島で切磋琢磨(せっさたくま)し、17年のシーズン終了後にサンフレッチェ広島に移籍したFW渡大生(25)も横浜F・マリノス戦でJ1初ゴールを決めた。山崎は「渡は1こ下ですけど、お互い、高め合ってきた存在なので、2人で決められたのは何かあると思いました。2人で試合できたらと思います」と言い、笑みを浮かべながらミックスゾーンを後にした。【村上幸将】