V・ファーレン長崎MF鈴木武蔵(24)は、浦和レッズ戦で決定的なシュートを外し「決めなきゃいけないところ。勝てた試合だっただけに悔しい」と下を向いた。

 一進一退の展開が続いた後半18分、鈴木は後方からのロングボールに抜け出すと、ペナルティーエリア左から切り込み、浦和GK西川周作(32)と1対1になった。「ファーのコースが空いていたので、流し込んだら入るなと思って打ったんですけど…」。シュートは右ポストを直撃し、弾かれた。

 千載一遇のチャンスを逃した以外にも、再三、浦和守備陣の裏に抜け出したが、最後のツメに甘さを見せた。「そこは、また練習していかないと、です。どの試合も背後を抜けてチャンスを作ることが出来る。最後のところを決めきれる力が、自分にはないので」と自らの現実を直視した。

 後半23分には、センターサークル付近で浦和の日本代表DF槙野智章(31)に執拗(しつよう)にマークを受け、倒されたことに激怒。にらみ合い一触即発の雰囲気が漂うほど、真っ向から戦う姿勢を見せた。

 「必要以上に来ていたので、イラッときた場面もあったが、試合中なので、ああいうふうになる時もある。相手が代表であろうと、何であろうと自分にとって関係ない。1対戦相手としてやるだけ」と言い切った。

 元日本代表FW高木琢也監督(50)は、鈴木について「武蔵の場合はゴールに持っていく回数が多くなった。フィニッシュは課題ですが、よく彼に言うのは『相手に駆け引きをしなさい』ということ」と評した。

 後半18分の決定的な場面について聞かれると「後ろから見ていて彼の姿勢を見て、入ったなと思ったが入らなかった」と振り返った。その上で「何かが足りないと思って、その後、考えた。技術的に急速に上手くなることはないので、メンタル…3本、決定機があって入らない。ダメなら5、7本打ったら入るとは言っている。ひょっとしたら、違うアプローチをかけていかないといけないかも知れない」と鈴木の決定力向上に、新たな働き掛けをすることを示唆した。

 鈴木にとって、現役時代に“アジアの大砲”と呼ばれ、日本代表の歴史に残るFWだった、高木監督との出会いは大きかったという。「個人的にメンタルのところ、シュートのコースは、よく言われます。FWの観点から話してくれるし、どういうFWでなきゃいけじゃいかは教えてくれる。今までの監督とは違うと思います」。

 鈴木が高木監督の元、FWとしてさらなる高みを目指す。【村上幸将】