J1外国人最多勝利監督の素顔に迫る。北海道コンサドーレ札幌杉浦大輔コーチ兼通訳(44)は、前節19日FC東京戦で外国人監督最多のJ1通算174勝目を挙げたミハイロ・ペトロビッチ監督(60)の通訳を務めて13年目。サンフレッチェ広島、浦和レッズ、札幌でタッグを組む片腕に「ミシャ」の魅力を聞いた。【聞き手=保坂果那】

 -杉浦コーチ兼通訳だからこそ知る、ペトロビッチ監督の意外な素顔は

 縁起を担ぐタイプ。勝った試合の次の週は、全く同じ行動を取る。(試合までの日数が)同じ日に同じ物を食べたり。勝った時のスーツや靴とか、身につけているものが次の週も同じとか。

 -欧州サッカーのチェックを欠かさない勉強熱心な監督が、サッカー以外に興味があるものは

 ないですね。でもたまに気晴らしに料理はするみたいです。作るのはチャーハンとか。

 -和食も食べる

 何でも食べますよ。この間ザンギ(から揚げ)を食べてました。(練習後の昼食は)焼き肉定食とか。焼き魚も結構好き。

 -お酒は焼酎が好き

 今は昔ほど飲まなくなった。広島時代は試合の前日、試合の後に飲みながらスタッフミーティングで。週3回試合があると、ほとんど毎日になるのでハードでした。

 -どんな指導者

 教育者的なところがある。サッカー選手とはこういうものだよ、人としてこうじゃないといけないよとか、哲学的な人生観的な話が多い。例えばキャンプって長い間家族には会えないし、練習がきついじゃないですか。選手もイライラしてくるけど、言い合いとかのアクシデントが起こりそうなタイミングで未然に防ぐ。「追い込まれた時に人間の本来の姿が出るよ。でも、みんなはそういうところでも、ぐっと自分を抑えて我慢して戦える人間でしょ」って。そう言われたら、やっぱり選手も抑えようって思う。経験のある監督さんだから。

 -通訳する面で工夫は

 練習中「ユックリ」と言ったら「攻め急ぐな」と訳す。攻めのテンポはゆっくりだけど、ボールは速く動かす。言葉そのままではなく、監督のイメージはこんな感じだろうなと、感覚的なところを選手に伝えている。

 -監督の魅力は

 指導者としてチームとはこういう風に作るんだよというのを、目の前で見せてくれる。これから監督を目指す人間としては勉強になる。

 -だから一緒に札幌に

 やっぱり12年やって、自分の道も進んでいかなきゃと、迷いもあった。だけど、絶対に周りが、ミシャさんが札幌に行ったらどうなるかなって目で見る。広島はたまたま良かったとか、浦和はビッグクラブだから成功しただけとか、思われるのが嫌だった。僕らは新しいクラブに行ってもいいチームを作るよ、指導者として偶然じゃないよ、っていうのを証明したかった。

 -J1での174勝は歴代最多270勝の西野朗氏(63)に次ぐ2位。ペトロビッチ監督へひと言

 一緒にあと100勝挙げましょう。