J2アルビレックス新潟は22日、片渕浩一郎ヘッドコーチ(43)の監督就任を発表した。片渕監督はオフ明けのこの日、監督として最初の練習を仕切った。7日の鈴木政一前監督(63)解任から15日後、16年途中に当時の吉田達磨監督(44)辞任後に続く2度目の監督就任になる。新潟はその年から3年連続で監督交代劇が続き、そのたびにコーチだった片渕監督が後任、つなぎ役(代行)を務めてきた。チームは現在19位。03年の下部組織コーチから在籍し、誰よりも新潟を知る男に残り13試合での立て直しが託された。

 肩書が変わっても、片渕監督のスタイルは今まで通りだ。練習中、ピッチ中央でジェスチャーを交えながら大声で指示を出す。鈴木前監督在任中からヘッドコーチとして、同じように練習を仕切ってきた。

 そこに「監督」としての言葉の重みが加わる。「目標はJ1昇格プレーオフを目指し、少しでも上の順位。鈴木さんがやってきたアクションサッカー、アグレッシブなサッカーを踏襲する」。さらに「必要なのは一体感。コミュニケーションを取っていく」。主将のMF小川佳純(33)は「フチさんとは今まで一緒にやってきた。スムーズに試合を迎えられる」と歓迎した。

 21日、新潟の中野幸夫社長(63)と午後8時から2時間ほど会談し、監督就任の要請を受けた。「チームの低迷は選手と指導するスタッフの責任。挽回するチャンスをもらった」。鈴木前監督の後、栃木SC戦、大宮アルディージャ戦を指揮した。当初はここまでの暫定指揮の予定だったが、想定外の監督就任を、ポジティブに捉えた。

 新潟は3年連続で監督がシーズン途中で交代している。そのたびに片渕監督が後を受けてきた。最初は16年、吉田監督の後任として正式に監督に就任。第31節から残り4試合を任されJ1に残留した。今年はそれ以上の13試合が残っている。

 「勢いだけではダメ。選手の組み合わせ、システム、戦術と具体的に解決策を立ててやっていく」と冷静に残りの試合に臨む構えだ。「1人の100歩より、100人の1歩。チームのためにやっていく集団で行こう」。この日のミーティングで選手にかけた言葉を実践し、新潟を率いる決意を固めた。【斎藤慎一郎】

 ◆片渕浩一郎(かたふち・こういちろう)1975年(昭50)4月29日生まれ、佐賀県出身。佐賀商、東海大を経て98年にサガン鳥栖に入団。02年に新潟に移籍し、シーズン後に引退。03年に新潟ユースのコーチ、06年から11年まで監督を務める。教え子には日本代表DF酒井高徳(27=ハンブルガーSV)がいる。16年に新潟のコーチに就任。同年9月27日に監督に昇格。17年はコーチ、18年はヘッドコーチ。現役時代はFWで、J2通算57試合出場13得点。