J2アルビレックス新潟がフロントの大改革に踏み切った。4日、中野幸夫社長(63)の12月31日付での退任と、是永大輔アルビレックス新潟シンガポール社長(41)の専務取締役就任を3日付で、また木村康彦強化部長(51)を2日付で解任し、昨年まで強化部長を務めた神田勝夫・新潟医療福祉大教授(52)が同日付で強化部長に就任したことを発表した。神田強化部長は約10カ月ぶりの復帰。チーム再生のかじ取りを担う。

新潟の危機に現場の再構築を任されたのは神田強化部長だった。「僕の使命はJ3には行かせないこと」。J2降格の責任を取り、昨年11月19日に退任。それから289日後の再登板発表は、ある意味で昨年以上に厳しい状況下でのものだ。

新潟は現在19位。1年でのJ1復帰は厳しく、J2残留争いに巻き込まれている。8月7日に鈴木政一前監督(63)を解任し、現在はヘッドコーチから昇格した片渕浩一郎監督(43)が現場の指揮を執る。神田強化部長は「選手個々が本来のパフォーマンスを出せているのかどうかを突き止める。その上で選手、スタッフと向き合う」。現有戦力の精度を高めることに注力する。同時に「来季に向けた情報は入れる。自分が続けるかどうかは別として、クラブのプラスになる行動は起こす」と来季編成に着手する意思も明らかにした。

昨季の退任後は新潟医療福祉大の教授として講義を行い、サッカー部GMの立場で強化にも当たった。大学をはじめ、多くのカテゴリーの試合を見た。「どういうチームが勝てるのか、というのは感じられた」。それは「昔の新潟のような戦い方をしているチーム」と言う。

00年から03年まで新潟でプレーし、引退後は04年から強化部長を務めた。新潟のすべてを知っている。豊富な運動量と組織的な攻守、アグレッシブな球際の攻防など本来の新潟の姿を取り戻すのがポイント。そのための仕事が始まった。

◆神田勝夫(かんだ・かつお)1966年(昭41)6月21日生まれ、新潟市出身。新潟工から東農大に進み、89年にJSLのNKKに入団。94年にC大阪に移籍し、95年に新潟県出身者初の日本代表に選出される。98年から横浜、00年から新潟でプレー。03年に引退。ポジションはDF。J1通算130試合出場7得点、J2通算114試合出場5得点。