湘南ベルマーレの曹貴裁監督(49)は、前身のナビスコカップ以来22年ぶりの準決勝となった柏レイソル第1戦後の会見の冒頭で「ルヴァンカップの準決勝の指揮を執るのは、監督人生で初めて。選手もほとんどが立ったことがない中、非常に堂々とプレーしてくれた」と感慨深げに語った。

曹監督は冒頭の言葉に続けて「自分たちが今までテレビの画面で見ていた決勝戦、そしてスタジアムから優勝している鹿島アントラーズ、浦和レッズ、ガンバ大阪の選手を見上げていたものを、自分たちが上に立って下を向けるようにしようと。ただ勝つだけじゃなく、堂々とプレーできないと成長がない」と、柏戦に望む際の思いを語った。

そして「3~5年前は、人ごとのように見えていたのが、クラブが少しずつ、少しずつトライして今があると思っている。個人的にはうれしい試合…それだけ選手がトライし、成功したプレーが随所にあった。互角以上の試合が出来たと思う」と試合を総括した。

曹監督は、その後も熱い思いを吐露し続けた。「湘南って、よく走るよね、いいチームだよね…と言われた、その後、皆さんが口に発しないものを、ずっと感じてやっているんで、それじゃダメだと思い7年目の指揮をしている」と口にすると、会見場の記者の一部から笑いが漏れた。曹監督は「面白かったところですか、今? 笑わせようと思ってないけど」と苦笑した。

そして「90分、終わっただけですけど大きな試合となった。すごくエネルギーのある勝ち点1となると思う。絶対に(決勝の)埼玉スタジアムに行くという思いで、中3日でBMWスタジアムで、さらにエネルギーのある湘南を見せたい」と、14日にホームで行われる第2戦へ強い意欲を見せた。

この日は、開始57秒に一瞬のスキを突かれて左サイドを突破されると、柏FW瀬川祐輔のゴールを許した。質疑応答で「湘南にしては立ち上がりが、ぼやけていた感じがした」と聞かれると、「僕が堂々とやれと言うことで、自信がないのに堂々とやるフリをしてやられた感じ…何となく」と評した。その上で「相手にボールを持たせ、最初からアグレッシブな湘南というのは、我々が持つ2つあるうちの1つの刀しかない。もう1つの刀を持っていかないと、選手とリーグの価値は上がらないし、そういうところを僕はトライしているが、その裏目を突かれた失点。選手は取り返したし逆転の意欲もあった。やってはいけない失点かもしれないけど、恐れて現状維持のサッカーをやらせるつもりはなかった」と、ネガティブな失点ではないことを強調した。

前半9分にFW菊地俊介(27)のゴールで追いつき、その後もオープンに攻め合った中、柏を2本上回る14本のシュートを放ったが、決定力を欠いた。曹監督は「仕方がないことじゃない。シュート練習の最初の1本を外して、集中しようと言ってから2本目に蹴っているんじゃあ遅い。1プレー目から入れるようにならないと、次のレベルにいけない。シュートを外すのと、失点するのが同じくらいの悔しさにならないとチームも選手も次のレベルにいけない。そういうことを勉強できた試合になったけれど、姿勢としては間違っていない」と、課題を口にしつつも選手の姿勢は評価した。【村上幸将】