左足首のけがで戦列を離れていた鹿島アントラーズDF昌子源(25)が、負傷した7月25日のJリーグのセレッソ大阪戦以来、約3カ月ぶりにピッチに立った。

2-2で、決勝進出にはあと1点が必要な後半39分に、FW金森健志に代わって途中出場。DF犬飼智也を前線に上げてパワープレーの形を取る際に、1人でも守れる「役」として投入された。

その期待に応えて、これまで苦しめられていた横浜FWウーゴ・ヴィエイラとの1対1では、痛めていた左足を使ってストップするなど確かな力になった。試合勘のなさが心配されたが、それを払拭(ふっしょく)するプレーもあった。

「僕なりに考えたかったのは(FKのキッカーに横浜MF)天野くんがいること。ウーゴ選手はファウルを誘うのがすごいうまいから、2回インターセプトしようと思ったんだけど、わざとやめて、その後で取ろうと思った。そういう頭の切り替えというか、瞬時に選択肢を増やせたことは、試合勘も、そうなまっていないのかなと思った」

ファウルを誘う可能性がある相手に無理して当たらず、わざと持たせてから、奪う-。わずかな時間の中で瞬時に判断が下せたことは、今後に自信が持てる出来事だった。

とはいえ、逆転勝利を狙っていた中で、勝ち越せなかったのも事実だった。そこには、敵ながら高く評価する横浜MF大津祐樹を引き合いに出して「それ以上のアグレッシブを出さないと、うちは勝てないと思っていた。それを前半は誰もしなかった。優勝したいという気持ちが、マリノスさんの方が上だったんじゃないか」と分析した。

過密日程の中でDF内田篤人らけが人も多く出て、体調が整わない選手も出始めている。残る大会は3つ。特に悲願のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)もある。「チームをまとめるという意味では篤人くんの存在はでかかったし、プレーできないからって、あの人の『役』がないのかと言ったら、ケガしているなりにも『役』はあると思う。それは分かっている人だと思う」と言い「僕はベンチから伝えたいことは伝えていたし、ハーフタイムも言いたいことは言った。そうやってチームは成り立っていく。外れた人がひと言、言うだけでもチームは締まると思う。そういう役割は、チーム全員がやっていかないといけない」と、総力戦で団結していく必要性を説いた。

足首とは「長い付き合いになる」という表現で、まだ完全に治ってはいないことをにおわせた。それでも昌子の存在は大きい。そう思わせた10分間のプレーだった。