湘南ベルマーレが、クラブ創設50周年の節目に初優勝を飾った。初めて進んだ決勝で横浜F・マリノスを1-0で下し、賞金1億5000万円を獲得した。

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湘南ベルマーレの前身で僕が所属していた藤和サッカー部が創部されたのが1968年。50周年の節目にタイトルを獲得でき、“OB”として「おめでとう」と言いたい。僕らの頃はアマチュアで、成績が上がったからと給料が上がる時代じゃなかった。そこからフジタ工業の撤退など苦労しながらここまできた。

この日の試合、前半飛ばしすぎて後半は守勢に回った。でもよく守った。湘南の寄せと気迫、勝ちたい気持ちが相手を上回ったように見えた。MVPこそ得点した杉岡だが、実際は個人の主役がいない試合、チーム力の勝利だ。

決勝というのは特別な場だ。準決勝までは客席が埋まらなくても、この日は4万4242人が入った。歌手の沢田研二じゃないが、お客さんの数はモチベーションになる。大観衆の中、ピッチに出ていく喜びは昔も今も変わらない。両チームとも今の日本代表がいるわけでもなく、リーグ戦では苦しんでいるのに、面白い試合になった。大舞台が選手の力をより引き出したのだろう。舞台を整え、演出することも大事だ。

ただし、湘南はこれで燃え尽きず、残りのリーグ戦をしっかり戦ってほしい。(日刊スポーツ評論家セルジオ越後)