J1残留に向けて戦う柏レイソルがいよいよ崖っぷちに立たされた。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を控え、主力選手を休ませた鹿島アントラーズに2-3と逆転負け。後半16分にパスミスからボールを奪われ、勝ち越し弾を献上した。佳境の終盤で痛恨の3連敗を喫し、09年以来3度目のJ2降格ピンチ。鹿島の日程の都合上、第32節が前倒しで開催されたため、柏は残り2戦に全てをかける。

試合終了の笛を聞くと、柏の選手たちは一様に視線を落とした。開始早々に先制点を許したが、すぐさま瀬川の2得点で勝ち越すなど、前半は気迫をみせた。だが、ACL決勝第1戦の3日から先発全員を入れ替えた鹿島に、27分に追いつかれると、後半16分にミスから決勝弾を許した。

どうしても勝ち点3が欲しかった。約2週間の調整期間では多くの練習を非公開にして新戦術に着手。前節川崎F戦は3バックで臨んだが、この日は得意の4バックに戻した。ボランチにはテクニックに優れた手塚と中山を入れ、中盤のボール保持率を高めた攻撃を狙った。しかし、相手に後半から修正されると後手に回る展開が多く、この日も後半から鹿島が対人に強くプレスをかけるようになると攻撃が単調になり、3失点目のパスミスにもつながった。

16位のサガン鳥栖とは残り2戦で勝ち点3差。10日に行われる鳥栖など他クラブの試合結果次第では、さらに差を広げられる可能性もある。加藤監督は「もったいない失点をなくす。あとは攻撃をテンポよく、正確にフィニッシュまでもっていけるように」と言うのが精いっぱいで、具体策はなかった。

DF鈴木は「もう2つ勝つしかない。1人が下を向いたら難しいと思う。一丸となって戦う」と言い聞かせるように話した。フロント、選手、サポーターがひとつとなり、奇跡の残留をつかみとる。【松尾幸之介】