浦和レッズは湘南ベルマーレに競り負け、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場圏内の3位入りが絶望となった。オズワルド・オリヴェイラ監督(67)は「我々は集中して、ACLに向かいたい気持ちがある。今までもリーグ、天皇杯、両方で目指していたが、リーグで可能性がなくなった今、天皇杯で必ず優勝し、ACLにつなげたい」とACL出場権獲得の最後の可能性となった、天皇杯制覇へ不退転の覚悟を示した。

この日は、シュート数で21対9と圧倒したようにコンスタントに攻勢を仕掛けたが、ゴールは後半32分のFW興梠慎三(32)の1点にとどまった。オリヴェイラ監督は「非常に戦いの激しい試合となった。両クラブとも、違った目的だったが勝ちたかった試合。浦和は、たくさんチャンスを作りながらゴールを決めることが出来ず、湘南は数少ないチャンスをうまくものにした。チャンスで決めるかどうかで、決まった試合」と総括した。

台所事情は、苦しかった。司令塔のMF柏木陽介が累積警告で出場停止となり、DF槙野智章は代表活動中の脳振とう、DFマウリシオとMF青木拓矢が負傷で欠場と、主力4選手を欠いた。その中、7月に期限付き移籍していたJ2モンテディオ山形から復帰したDF茂木力也(22)を、リーグ戦で初めて起用。FW武富孝介を4月25日の柏レイソル戦以来7カ月ぶりに、しかも中盤で起用した。

オリヴェイラ監督は、茂木と武富の評価について聞かれると「良いトレーニングをして、緊急事態に試合に出てくれた選手たち。武富は本来のポジションではなかったが、柏木が出られないので以前、練習試合でプレーしたところで使った。役割をこなそうと頑張って、いいプレーも見せてくれたが、本来のポジションではなかったというのもあったと思う」と、適正ポジションで起用しなかった点を配慮した。

茂木についても「ボランチ、サイドバック、ウイングバック、センターバックなど、いろいろなポジションでプレーできるが、その中で1番、向いてないセンターバックで使った。センターバックは、もっと力強さと背丈が必要かもしれないから」と武富と同様、適正ポジションで起用しなかったと指摘。その上で「危なげないプレーはしてくれたと思うし、将来性のある選手。今後、ボランチもしくはサイドで見てみたい」と、長い目で見つめていく考えを示した。【村上幸将】