ジュビロ磐田はJ1残留を決められなかった。引き分け以上で自力残留が決まるホーム最終戦で、北海道コンサドーレ札幌に0-2。一方で、前節終了時14位湘南、15位鳥栖、16位の名古屋がそろって勝利した。結果、柏の17位でのJ2降格が決まったが、J1参入プレーオフに回る16位は、最終節の結果次第で磐田を含む5チームに可能性が残されている。だが、磐田は最終節のアウェー川崎フロンターレ戦に引き分け以上で残留が決定。他力を考えず、全力で勝ち点をつかみにいく。

ヤマハスタジアムが静まり返った。0-2の後半ロスタイム、反撃できないまま表示の4分が経過し、試合終了の笛が鳴った。引き分け以上でJ1自力残留が確定する状況下での完封負け。湘南、鳥栖、名古屋が勝って他力もなくなり、名波浩監督(45)は謝罪の言葉を並べた。「残留を決められず、申し訳なく思っています」。

出ばなをくじかれた。前半12分、相手の右クロスがDF高橋祥平(27)の足に当たり、そのままゴールラインを割った。「先に点を取られると、厳しいのが現状」(名波監督)。後半25分、右足負傷から復帰したMF中村俊輔(40)を投入するなど、選手交代から反撃を狙ったが、同31分にカウンターから2点目を奪われて力尽きた。

MF山田大記(29)は「内容うんぬんではない。負けたことが全て」と、厳しい表情で振り返った。現実にこの日、勝利したライバル3チームとの勝ち点差は1に。同じ勝ち点の横浜も含め、最終節でJ1参入プレーオフに回る16位になる危機に立たされた。

命運を懸けた最終節の相手は、2連覇を決めている王者川崎F。だが、引き分け以上で自力残留が決まる状況は同じだ。試合後のセレモニーでは、頭を下げる木村稔社長(64)とDF大井健太郎(34)にサポーターから拍手が送られた。大井は「温かい拍手を受けて、選手たちも感じるものがあると思う」。中村は「一丸というより、殺気だった集団になれるかだと思う」と言った。もう1度、残留を勝ち取るべく、全員で準備を進める構えだ。【前田和哉】

◆磐田のJ1残留条件 最終節のアウェー川崎F戦に、引き分け以上で確定。敗れた場合は、<1>15位鳥栖が敗れる<2>14位湘南と16位名古屋の直接対決で、どちらかのチームが勝利する<3>勝ち点で並ぶ12位横浜が、磐田の得失点差を下回るほどの大敗を喫する。