元スペイン代表FWダビド・ビジャ(36)のヴィッセル神戸入団発表会見が1日、本拠地ノエスタで電撃的に行われた。ビジャは神戸の今季最終戦を会場で観戦し、ハーフタイムにはピッチにも登場。試合後の入団発表及び会見では、10年W杯南アフリカ大会ではスペインの優勝に貢献したMFアンドレス・イニエスタ(34)とのコンビ復活を大歓迎。来季は日本で神戸を頂点へ導く。推定年俸は約3億5000万円で複数年契約。背番号は未定。

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サプライズの登場に神戸の本拠地ノエスタの満員の観客席がどよめいた。ハーフタイムに三木谷浩史会長(53)に伴われ、ビジャがピッチに現れた。早速のビジャコールで歓迎された超大物は、試合後に行われた会見で「日本のみなさん、サポーターに感謝したい。早くスパイクをはいて、ゴールを決めることでお返しができれば」と言った。

移籍を決めたのも神戸の熱意だったという。「(移籍先を)決断する上でクラブが示すものへの興味、あらゆる手を尽くしても欲しいと思ってくれているかを大切にする。それをヴィッセルから感じた」。三木谷会長は「素晴らしい経験、インテリジェンスの持ち主。(リージョ)監督とも相談して、我々のスタイルに合うストライカーだと名前が挙がった。私も映像を何度も見て、ぜひ来てほしいと思った」と熱く語った。

そしてイニエスタの存在だ。神戸からのオファーを受け、かつての同僚に電話したという。「神戸の良さ、クラブの居心地の良さなど聞かせてもらっていい印象を受けた。彼とは(元)チームメートであり、友人でもある」。スペイン代表で08年欧州選手権や10年W杯の優勝、バルセロナでも欧州CL制覇など栄光を築いてきた。その融合が日本で復活する。ビジャは「(イニエスタと)また違った場所で新たなプロジェクトに挑める。そこに魅力を感じている」。

三木谷会長の肝いりで、大改革を進める大目標はアジア制覇。ボールを保持して試合を支配する「ポゼッションサッカー」を推進する。ビジャは「神戸が目指すテクニカルにボールを保持するサッカーで、世界最高峰のイニエスタがいる。彼のそばでチームに植え付けていくことができれば」と使命を理解する。

イニエスタが加入した今季は10位に終わった。それでもクラブ最多の1試合平均2万1630人の動員に成功した。大補強の手を緩めない神戸は、ビジャの加入で来季の楽しみは広がった。【実藤健一】

◆ダビド・ビジャ 1981年12月3日、スペイン生まれ。01年にスペイン2部ヒホンでデビュー。03年夏にサラゴサへ移籍。05年夏から5季過ごしたバレンシアで活躍し、10年夏に名門バルセロナへ。その後、AマドリードとオーストラリアAリーグのメルボルン・シティを経て、15年から米MLSのニューヨーク・シティでプレーし4季目の今季で退団。スペイン代表では10年W杯南アフリカ大会で5得点で最多得点を挙げ、優勝に貢献。代表通算98試合で同国最多の59得点。