J2アルビレックス新潟の是永大輔・新社長(41)が21日、就任会見をNEXT21(新潟市)の19階展望ラウンジで行った。クラブの公式会見としては初の一般公開形式で、15社34人の報道陣に加え、ファン73人も訪れた。注目の中、新潟のサッカーを確立するための「メソッド部門」の新設など、7つの指針を発表。1月1日の正式就任を前に、カラーを打ち出した。

新潟市を一望できるラウンジで、是永新社長が来季以降の指針を明らかにした。報道陣以外に来場無料で一般市民にも会見を公開。73人の来場者が見守る中での文字通りの“公約”発表だった。

「クラブが来年以降進めていく中で、7つのお話をしようと思います」。そう切り出した4番目に、新たな取り組みである「メソッド部門」の新設を挙げた。

攻守にアグレッシブな新潟のスタイルを下部組織からトップチームまで一貫するための専門部門。「FCバルセロナをイメージして欲しい」と下部組織育ちのスター選手を多く輩出し続ける名門を例えにした。スペイン・バルセロナに本社を置き、フランス・パリSGの育成組織構築にも携わった企業、「サッカーサービス」と19年3月から3年契約を結ぶ。そこからスタッフ2人を招聘(しょうへい)。下部組織の指導に参画し、選手育成のプラン構築だけでなく、指導レベルの向上も目指す。

「欧州トップレベルのメソッドを新潟に持ってくる。下部組織からトップへの選手輩出だけでなく、全国から新潟に若い選手、指導者が集まってくるのではないかと思っている」。J1昇格だけでなく、アルビレックス新潟という組織全体の将来を見据えた新プランを来季から実行に移す。

土台にあるのは自身の経験だ。08年に社長に就任したシンガポール・プレミアリーグの新潟シンガポール(S)をリーグ3連覇など国内最強チームに作り上げた。13年には「アルビレックス新潟バルセロナ」を設立し、日本からの留学生の受け入れ、現地での語学研修、練習などを主催した。クラブ再建の資材の調達先は世界にある。

「アルビレックスはみんなのクラブ」と9月の専務就任時から発信し続けてきた。「サポーターの皆さんにも考えを共有してもらいたいと思い、こういう(一般公開)会見の形にした」。自らの発案で行った公開会見。その場でリーダーとして新潟の未来像を示した。【斎藤慎一郎】

◆是永新社長7つのテーマ

<1>クラブの価値向上

「市民のためのクラブ」として市民やファンから「ありがとう」を多く言ってもらえるクラブにする。選手が小学校や病院などを訪問する機会を増やし、クラブの存在価値を高める。

<2>予算5億円減

 来季予算は今季より5億円減の予定。債務超過に近いラインからの脱却のため「これから上に行く」というムーブメントを起こす。ファンと触れ合う機会を設ける。

<3>来季陣容を編成中

 強化部を中心に来季陣容を編成中。予算削減の中でもJ1昇格、J2優勝は変わらぬ目標。

<4>メソッド部門新設

 下部組織からトップチームまで、統一した新潟サッカースタイルを確立させる。

<5>モバイルサイト改編

 公式の「モバイルアルビレックス」に動画コンテンツなどを増やし、クラブが発信したいタイミングで発信できる状況をつくる。ライブエンターテインメントを追求する。

<6>取締役の追加

 IT関連で実績のある加藤順彦氏と森田正康氏が20日付で就任。首都圏でのパートナー企業増加を目指し、クラブの全国的な知名度、存在価値を高める。

<7>海外との試み強化

 新潟県、新潟市と連携しサッカーをキーワードに新潟を訪れる外国人客を増やす。シンガポールのクラブとも提携を計画中。