J2町田ゼルビアが22日、都内でホーム開幕戦(24日・町田市陸上競技場)で対戦する東京ヴェルディと公式合同記者会見を行い、昨年10月にクラブの親会社となったIT関連大手サイバーエージェントの手厚い支援を追い風に悲願のJ1昇格を誓った。

会見には町田の大友健寿社長をはじめ、両監督と代表選手1人ずつが出席。町田の相馬直樹監督が「伝統もあり、我々の力を発揮させてくれるような相手と戦うことができます。いい準備をして戦いに臨みたい」と話すと、東京Vのホワイト監督も「クラブにとってすごく大事な1戦であることはわかっている。僕たちの熱意、情熱をこの試合で見せられたらと思います」と応じ、火花を散らした。

町田は昨年のJ2リーグでクラブ最高となる4位となる好成績をおさめた。しかし、J1ライセンス付与に必要な1万5000人以上が収容できる本拠地や、天然芝の専用練習場の保有などの基準を満たせず、6位までに出場資格のあるJ1参入プレーオフに参加することができなかった。

そんな中、今季は昨年10月にクラブの約80%の株を取得して経営権を握ったサイバーエージェントの約11億円にものぼる支援で、現在は専用練習場とクラブハウスを建設する町田市内の候補地の最終選定に着手。町田市の出資もあり、すでにスタジアムの改修工事も行われており、来季のJ1昇格が可能な本年度中のJ1クラブライセンス取得にむけた準備は着々と進んでいる。相馬監督は同社の一連の支援に感謝しつつ「昨年は6位以内という目標を掲げ、今年は昇格という目標を掲げております。新しい覚悟をみせつける戦いになる」と力を込めた。

サイバーエージェント効果はこれだけではない。今オフには同社の支援でクラブ初となる2度のキャンプを実施。例年行っている宮崎キャンプ前の1月下旬に、1次キャンプとして沖縄に向かった。毎年1月は町田市内で雪が積もることがあり、監督やスタッフらが雪かきに追われたり、練習中止を余儀なくされることもあった。しかし、今年は温暖な南の島で約1週間みっちりとトレーニング。相馬監督は「(2度のキャンプで)選手間のコミュニケーションも例年以上に早く進んでいるかなというところもあるので、(支援は)大きなものになっている」と手応えを口にした。MF井上裕大主将も「とても濃いキャンプを送れたことは事実ですし、ありがたいこと。それがあったからこそ目標が達成できたと言えるように、これから僕たちが頑張っていかないといけない」と気を引き締めた。

今月19日にはサイバーエージェントとテレビ朝日が共同出資するインターネットTV局「Abema TV」で町田の今季ホーム全試合を無料放送することを発表しており、さらに今日22日には、3月7日から町田の応援番組「FC町田ゼルビアをつくろう~ゼルつく~」を放映することも発表。クラブ関係者によると、同社の支援で本年度の選手年俸の上がり幅も例年以上に大きくなっているといい、J1昇格という目標へ向け、これ以上ない環境が整っている。

また、同社はかつて06年に東京Vを運営する、日本テレビフットボールクラブとの業務・資本提携を発表し、日テレに次ぐ2位株主となったが、成績低迷などで2年で撤退した背景もある。東京Vを代表して出席したDF田村直也はこうした経緯を踏まえた上で、本年度からユニホームの胸スポンサーとなったモバイルゲーム事業などを行うアカツキを引き合いに出し「今年は新たにアカツキさんにスポンサーについていただいたので、うちとしてもキャンプでおいしい食事が出て、充実したキャンプを送らせていただいた。いろんな方のおかげでサッカーができる環境があると思うので、しっかり感謝して今年も頑張ります!」と話し、笑いを誘っていた。【松尾幸之介】