Jヴィレッジ(福島・楢葉、広野町)が震災復興の旗振り役を務める。東日本大震災から8年。震災直後は原発事故に対応する東電職員らの拠点として使われたが、昨年7月に一部営業再開。今年4月20日には完全営業再開を果たす。さらに20年東京オリンピックの聖火リレーの出発地にも決まった。

湘南ベルマーレ監督も務めた、Jヴィレッジの上田栄治副社長(65)は「地域の復興という意味では、いろんな人に来てもらい、交流人口を拡大することが大事」と話した。施設周辺の放射線量は0・08~0・12マイクロシーベルトまで下がったという。上田副社長は「ソウルやシンガポールと同じくらい。健康被害には問題のない数値だと言われている」と力を込めた。

震災で駐車場に姿を変えたピッチは約80センチもの土砂を取り除いて芝生へと戻した。「計画通りにいったのは、作業してくれた人たちのご尽力のおかげ」。携わった全ての人に感謝しながら“復興のシンボル”としてゆっくりと歩みを進めている。

今後は「音楽や芸術、ビジネスでの利用もしていただきたい」と言う。屋根付きの練習場やホテルも新設し、研修に使える約250人収容のホールもある。周辺に民家が少ない利点を生かし、今秋には数千人規模の音楽フェスを検討中だ。いったん遠のいた客足をどう取り戻すか、新たな取り組みにも力を入れている。【松尾幸之介】