ベガルタ仙台は柏レイソルを2-1で下してカップ戦3連勝とし、B組単独首位をキープした。後半2分にFW長沢駿(30)がこぼれ球を押し込み先制ゴールを奪うと、同24分にはFW石原直樹(34)が追加点を挙げた。ロスタイムに1点を返されたが、粘る相手を突き放し公式戦2連勝と復調気配だ。試合途中に雨から雪に変わる中、仙台OBで日本代表の森保一監督(50)が視察した一戦での勝利。ルーキーMF田中渉(18)が後半途中投入され、プロ初出場を果たした。

冷たい雨が、季節外れの雪に変わった後半開始直後、流れは仙台に大きく傾いた。FW長沢が持ち味の高さを発揮。右サイドからのクロスに反応し、自らヘディングで競り合ってこぼれたボールを、右足で流し込んだ。「とっさの判断でつま先で蹴った。がむしゃらで泥臭いゴール」と前回ルヴァン杯・FC東京戦に続く、移籍後2本目となるゴールで先制点を挙げた。

勢いは止まらない。同24分にはFW石原直が、左サイドのDF永戸がグラウンダーで流したクロスにフリーで反応。「先制できて落ち着きが出た。勝也(永戸)が抜けるときに準備はできていた。チャンスを外していたので決められてよかった」と冷静に右足で流し込み貴重な追加点を奪った。

攻撃が活性化した6日のサガン鳥栖戦に続き、布陣を3-5-2にして臨んだが、立ち上がりから膠着(こうちゃく)状態が続いた。枠をとらえたシュートはDF永戸の左足ミドル1本のみ。公式戦では16年3月のリーグ戦以来、8戦負けなしと相性の良い相手だったが、今季J2となった相手を見極めるのに時間を費やした。それでも球際で、ファウル覚悟の激しいプレスをかいくぐった。

渡辺晋監督(45)は「雪が降って4月とは思えない気候の中で5000人を超えるサポーターが集まってくれた」と感謝し、「相手の出方をしっかり見て少しずつポジションをずらしながら戦うことができた」と手応えを示した。開幕の浦和レッズ戦でスタメンだったメンバー5人が先発に名を連ねた。スタメンをガラリと代えて勝利した鳥栖戦の影響で、FW石原直、FW長沢、DF大岩、MF関口らベテラン勢が若手の登竜門で奮起し、カップ戦3連勝。メンバーシャッフルが奏功した仙台の勢いが、加速してきた。【下田雄一】