北海道コンサドーレ札幌は今季ワーストの5失点を喫し、ガンバ大阪に敗れた。MFチャナティップ(26)が試合開始直前に負傷し、緊急欠場。チームの要を突如失ったショックもあり、後半だけで5ゴールを献上した。

9、13日のルヴァン杯準決勝でも戦う相手との3連戦初戦は、黒星スタート。クラブ初タイトル獲得へ、中4日での修正が急務だ。

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攻撃の空回りが、守備の崩壊につながった。後半だけで5失点。ミハイロ・ペトロビッチ監督(61)は「今日のゲームは札幌にとって今シーズン最も悪いゲームだった」。今季ワースト失点の惨劇を嘆いた。

突然襲われたアクシデントを乗り切れなかったのが敗因のひとつとなった。チャナティップが試合開始直前に右ふくらはぎを負傷し、急きょ欠場。代わりに緊急先発したMF荒野拓馬は「正直スタートから出る準備をしていなかった。落ち着いて入れればいいと思いながら、守備が大事と、確認しながらだった」。指揮官は後半、FWジェイを練習でもあまり試さない右シャドーに置いた。だが攻撃にリズムは生まれず、守りのバランスも崩れていった。

クラブ史上初のタイトル獲得がかかるルヴァン杯準決勝は5日後。同じ相手に屈辱を喫したが、ペトロビッチ監督は浦和レッズを率いた16年、今回と同じようにリーグ戦、カップ戦でヴィッセル神戸との3連戦を経験している。初戦のリーグ戦は敗れたが、ルヴァン杯では日本代表に招集されたGK西川周作、DF遠藤航を欠きながら連勝し、準決勝、決勝へ駒を進めて優勝している。「野球ではよく3連戦をやっているが、3連勝するのはあまり聞かないのでは。同じ相手と3回戦って3回勝つのは、なかなか簡単ではない」。3連戦をトータルで考え、勝ち抜く術は熟知している。

この日の完敗の悔しさを晴らすチャンスは、すぐにやって来る。MF鈴木武蔵は「ここが正念場。初のタイトルに近づいているので、この機会を逃したくない」と前を向く。9日は、同じ場所で笑ってみせる。【保坂果那】

▼札幌にとって金曜日開催は相性が悪い。J1、2リーグ通算で過去12戦1勝3分け8敗。J2時代の16年ホームで徳島を1-0で下したのが唯一の勝利で、敵地での白星はない。またもジンクスを破れなかった。

○…MFチャナティップは先発として発表されていたが、試合前練習中に右ふくらはぎを痛め欠場した。W杯アジア2次予選に臨むタイ代表に選出されており、7日からスタートする代表合宿に参加する予定だったが、取りやめることに。5日に札幌へ移動後、同市内の病院で検査を受ける。「痛いね。どれくらいのレベルかわからない。明日(5日、26歳の)誕生日なのに…」と、つぶやいていた。