北海道コンサドーレ札幌菅大輝の顔がこわばっていた。前日練習を終え「いつもの10倍くらい緊張しています。こういうビッグマッチを経験したことないから」。6月の南米選手権で日本代表に初招集されたが、出番はなかった。左MFでの先発が濃厚な21歳は、プレッシャーを感じていた。

クラブ創設24年目での初の国内3大タイトルに王手をかけているからだ。U-12からの生え抜きは「小4からこのチームにはお世話になっているので、恩返しとして、しっかりタイトルという形として狙えたら」と誓った。

今月、U-22ブラジル代表に勝利した同日本代表の活躍に、悔しさを感じた。同じ東京五輪世代。「今回代表に入れなくて悔しかった」と、ライバル心に火をつけていた。金星を挙げたブラジル戦で、2ゴールを決めた田中との直接対決の機会。「ポジションも被ってないけど、まずは自分のやるべきことをやって結果に結びつけて、碧に勝てればいいかなと思う」と思い描く。

左サイドからのチャンスメークが載冠につながる。クロスと豊富な運動量で攻守で貢献するのが仕事だ。「ただ、ひたすらガムシャラにやればいいかなと思う」。思い出すのは1年前。同い年の湘南DF杉岡が決勝弾で同大会MVPに輝いた。「いつか杉ちゃんのような、いいとこ取りじゃないけど、MVPを取って、そういう風になれたらと思った」。FW登録では異例の背番号4を背負う男が、そのチャンスをつかむ。

【保坂果那】