「オレたちが青森の歴史を変える!」。全国高校サッカー選手権青森県大会決勝は16日、青森県総合運動公園陸上競技場で行われる。

昨年度の決勝で青森山田を1-2と苦しめた八戸学院野辺地西が、3年連続の決勝対決で悲願の全国初出場を狙う。昨年度大会で2度目の日本一に輝いた県22連覇の絶対王者に、オール青森軍団が挑む。

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昨年の悔しさを忘れたことはない。DF花田翔主将(3年)の脳裏には決勝ゴールの残像が今なお残る。後半34分、クロスを受けた相手のエース檀崎竜孔(19=J1札幌)のシュートにブロックにいくも10センチ届かなかった。「触れたつもりだったがダメだった。1年間、あのシーンがずっと頭にあったから、つらい練習にも前向きに取り組めた。自分たちが山田を倒し、青森の歴史を変えるんだぞ、と」。

「山田を追い詰めたチーム」として知れ渡り、強豪校とも練習試合を組めるようになった。春には前橋育英(群馬)に2-3、矢板中央(栃木)とは0-0と接戦を演じたが技術、体力、戦術ともに実力差を痛感した。「まだまだ足りないと気付かせてもらった」(花田)。6月の総体予選決勝では青森山田に0-2で返り討ちにあうも、東北総体では専大北上(岩手)、羽黒(山形)と他県の1位校を撃破し準優勝。全国レベルを証明してみせた。青森山田の3rdチームも所属するU18県1部リーグでは、13勝1分けの無敗で初優勝するなど、着実にステップアップしてきた。

59人全員が県内出身。それぞれが「青森プライド」を胸に集まった。MF佐々木大羅(たいら、3年)は中学時代の県選抜でJ1浦和入りする青森山田MF武田英寿主将(3年)とダブルボランチを組んだ。「山田を倒す側でやりたい」と前橋育英からの誘いも断った。MF山谷麻尋(3年)も「青森県人なら山田を倒してなんぼ。それに一番近いのが野辺地西だった」と、反骨心とともに「打倒山田」を目指してきた。

光星学院(現八戸学院光星)の1、2年時に全国に出場した三上晃監督(43=東北題字に写真)は「青森のチームで全国トップを倒したい。3年間、必死に努力を重ね、人間的にも成長してきた子たちに、選手権を味わわせてあげたい」と力が入る。決勝に向け「我々だけが山田を倒す権利を持っている。最高の準備をして臨もう」と選手を鼓舞した。選手は生まれた時から青森山田以外の優勝を知らない。昨年の決勝でゴールを決めたMF工藤拓人(3年)は「たかが1点と思っていたのに、いろんな人が『来年頑張れ』と期待してくれた。去年が偶然じゃなかったことを証明したい」と、サッカー界を揺るがす世紀のジャイアントキリングに自信をのぞかせた。【野上伸悟】