ジュビロ磐田の来季J2降格が決まった。ホーム最終戦で名古屋グランパスを2-1で下したが、J2との参入プレーオフに回る16位湘南ベルマーレも勝利。勝ち点差は4から縮まらず、最終節を残して年間17位以下が確定した。

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ジュビロ磐田に奇跡は起こらなかった。公式戦16戦未勝利中だった名古屋に勝った。今季わずか1勝だったホームでJ1残留への執念を見せたが、喜びは一瞬だった。16位湘南が勝利した現実を突きつけられ、本拠地ヤマハは静まりかえった。

下部組織出身のMF上原力也(23)は「降格が全て。サポーターも含め、ジュビロに関わる全ての人に申し訳ない」と謝った。来季は14~15年以来、5年ぶり2度目のJ2所属が決定。過去3度のリーグ優勝を誇る名門の姿がかすんだ。

同点とされた後半26分。FW大久保嘉人(37)が、右クロスに飛び込んだ。前節札幌戦も、同点とされながら後半ロスタイムに決勝点。崖っぷちの中、直近5試合は3勝1分け1敗と意地を見せた。それでも、GK八田直樹(33)は「自分たちの甘さ。追い込まれてからでは遅い」と言った。今季は2度の監督交代などチーム方針が定まらず、8月の仙台戦から最下位に低迷。反撃体勢が整い始めた時には、残留の可能性はほぼ消えていた。

16年のJ1復帰から4年。再び降格決定の屈辱を味わった。試合後のセレモニーでDF大井健太郎(35)は「1年で必ずJ1に戻って来ます」と言葉を振り絞った。涙ながらに訴えた主将に送られた声援が、救いだった。【前田和哉】