04年アテネ五輪で日本代表の主将を務めたヴィッセル神戸のDF那須大亮(38)が17日、神戸市のいぶきの森で16日に引退を発表してから初めて取材に応じた。

引退発表ではヘディングしたときに脳が揺れる現象があることを理由に挙げていた。これまでに、MRIを3回撮ったが異常はみられなかったという。「幼少期のころからヘディングを数え切れないほどやってきた。一昨年の年末の試合で初めて(症状が)起こった。こんなに揺れることがなかったのに。二重に見えたり、ふらついたりした。顎を殴られたような。今年に入ってヘディングした後はほぼ揺れていた。練習でも頻繁に起こるようになって、(ヘディングを)やめておこうと思うようになった」と詳細を語った。

引退を決断したのは7日のリーグ最終節ジュビロ磐田戦後に行われた、チームメートで同じ歳のFWダビド・ビジャ(38)の引退セレモニーを見てからだった。「感じるものがあった。100パーセントでやれていない自分に気づいた。自分の武器なんで、ヘディングって。武器が使えなくて、ストレスを抱えていた」と振り返った。

J1リーグ戦通算400試合を戦い抜き、29得点。だが、今季はリーグ戦の出場機会がなかった。「(引退を発表して)すっきりしています。18年もやらせていただいて、ありがたいサッカー人生。試合も多く出させていただいた。まったく悔いもなければ、今が引き時だなと思った」とすっきりした表情で語った。

引退は天皇杯終了後。21日の清水エスパルス戦(ノエスタ)に勝てば元日の決勝。クラブ初タイトルが見えてくる。「自分の立ち位置でできることを最大限やっていこうと思います。天皇杯優勝して終われたら、選手冥利(みょうり)に尽きるなと思っています」と語り、最後の瞬間まで全力でチームに貢献することを誓った。【南谷竜則】