青森の歴史を変える! 八戸学院野辺地西サッカー部(青森)に、過去最多36人の新入部員が加わった。全国選手権2度の優勝、昨季はプレミアリーグを制した青森山田とは、3年連続選手権県大会決勝で対戦し、0-11の大敗から、一昨年は1-2、昨年は0-0からのPK負けと肉薄した。厚みを増した72人のオール青森軍団が、「青森山田を倒して全国初出場」の悲願に向け、新たなスタートを切る。

でっかい野望を持った若武者たちが集結した。新入生35人に転校生1人。就任17年目の三上晃監督(43)は「彼らは生まれた時から青森山田の全国しか知らない。あと1歩、あと1歩と来た。ひっくり返したいですよね。72人全員で平均値を上げながら、武器を作っていきたい」と歓迎した。

初めて県決勝に進んだ翌年(14年)の31人を超える大量入部。選手権23連覇、県内359連勝中の王者を追い詰めた姿に憧れてやってきた選手たちだ。FW金津力輝(1年)は「自分が入って山田に勝ちたいと思った」。MF山本柊輝(1年)は大間中にサッカー部がなく、野球部に所属し再挑戦の時を待った。「みんなうまいのは覚悟の上。山田に勝ち、得点王となって日本一」と志は高い。中には前橋育英(群馬)など強豪校からの誘いを断った選手も。「昔は勧誘しても来てもらえなかった。山田と勝負できるきっかけは与えられたかもしれない」と三上監督も感慨深げだった。

青森山田には過去3年、新人戦、総体、選手権と決勝9連敗中だが、県2位で出場した昨年6月の東北総体では専大北上(岩手)、羽黒(山形)と全国総体組を撃破し全国レベルを証明。三上監督は「日本一の山田が青森にいることはプラスでしかない。全国基準を教えてくれ、うちを強くしてくれる」と前向きに捉える。MF木村大輝(2年)は「山田がいるからきつい練習も頑張れる」。MF町屋紅斗(2年)も「常に高い意識でできる」と選手は宿敵への感謝を忘れない。

昨年の決勝を経験したMF堀田玲穏(3年)は「山田は迫力、オーラが違い何もできなかった」。MF風穴真苑(3年)は「パス回しが速く試合に入れなかった」と実力差を謙虚に認め前に進む。GK鈴木奏汰主将(3年)は、決勝のPKを1本も止められなかった悔しさを忘れない。「止めていれば勝てたかもしれない。でも過去2年の結果は忘れて、新入生も加わり一からのスタート。全員で守って攻めて、サボらず、格好付けずに泥臭くやっていきたい」と一丸となって世紀の大金星を目指す。【野上伸悟】