Jリーグが2週連続で新型コロナウイルスの脅威に見舞われ、試合中止を余儀なくされた。

公式検査で福岡の1選手が、陽性の可能性が「非常に高い」とされ、2日のJ2大宮アルディージャ-アビスパ福岡戦(NACK)の中止が、開始1時間15分前に発表された。新型コロナによる中止は、7月26日のJ1サンフレッチェ広島-名古屋グランパス戦(Eスタ)に続き2試合目。大宮と福岡との合同オンライン会見に出席したJリーグの村井満チェアマン(60)は、PCR検査と、試合日に検査できるというスマートアンプ法の導入による併用を、至急検討する意向を示した。

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ギリギリの決断だった。大宮-福岡戦は、開始1時間15分前に中止が発表された。午後4時に、福岡に、選手1人が公式検査で陽性の可能性が非常に高いと判定されたと伝えられた。専門家と協議の末、Jリーグが約1時間後に主催の大宮らに中止を伝えた。オンラインで、両クラブと合同会見した村井チェアマンは「陽性だった場合、チーム内の濃厚接触の可能性も否定できなかったので中止の判断をした」と説明した。

7月31日に検体を採取した今回の検査結果は、本来4日に出る予定だった。1日のU-19日本代表候補合宿の集合時に日本協会が実施したスマートアンプ法とPCR検査により、FC町田ゼルビアFW晴山岬の陽性が、その日のうちに判明。町田は2日に京都戦を控えていたため、Jリーグは公式検査の結果判定の前倒しを依頼。晴山以外の陰性を確認し、保健所が遠征メンバーに濃厚接触者がいないと判断し、実施を決めた。

同時に他のJ2クラブの検査スピードも上げた結果、福岡の選手の陽性の可能性を試合前に見つけることができた。Jリーグは2週間に1度のペースで、全56クラブの選手と審判員らを対象にPCR検査を実施。金曜日に検体を採取し、翌週の月曜日と火曜日の結果を受けて水曜日以降の試合のエントリー可否の判断材料としている。専門家との協議を重ねて細心の注意を払っているが、2週間で生まれるわずかな“隙”を2週連続で突かれた。

村井チェアマンはスマートアンプ法との併用の検討を示唆した。「トータルの実行性とコスト、検査スピードなど大至急、検討に入りたい」。1日にはFC東京の長谷川健太監督が、相手の鳥栖に前日発熱した選手がいた中で試合が開催されたことへの不安を口にしていた。

Jリーグはこの試合前にも、急いでサガン鳥栖の公式検査結果を出し全員陰性だと伝えていたが、全クラブ一斉に同様の措置を取ることは不可能に近い。濃厚接触者を判定する保健所と週末に迅速に連携する難しさもある。全国で再び感染拡大が進む中、安全の下で、どう運営していけばいいのか-。ガイドライン修正を含め、見えざる敵との厳しい闘いは続く。【浜本卓也】

◆スマートアンプ法を活用した新型コロナウイルスの迅速検出法 神奈川県衛生研究所と理化学研究所が開発したもの。7月にダナフォーム社(本社・神奈川県)が簡易パッケージ化し、1時間に24検体の検査が可能となった。研究用試薬の段階では、陽性一致率90%、陰性一致率は100%。神奈川県が「検査の神奈川モデル」として医療機関への導入を推進している。