創部25年目の学法石川が福島の勢力図を変えた。6連覇中の絶対王者・尚志を準決勝(1-0)で止めた勢いそのままに、聖光学院を3-0で撃破し初優勝。前半6分、CKからMF衣川佳佑(3年)が頭で合わせ先制し、同19分にエースFW倉島聡太(3年)が4戦連発となる今大会5ゴール目をヘッドで突き刺した。後半37分にはFW竹沢陸(2年)がダメ押し弾。歴代OBの思いも背負い初の全国選手権(12月31日開幕、東京・駒沢陸上競技場ほか)に挑む。

学法石川の新章幕開けを告げるホイッスルが鳴り響くと、選手たちは抱き合い喜びを爆発させた。倉島は「自分たちが歴史を変えると言ってきて、初出場が自分たちの代で本当にうれしい」。前半には右クロスから頭で追加点。「ドンピシャが来て『ごっつぁんです』という気持ちでした」。4回戦(初戦)の数日前の練習で左手薬指を骨折。ギプスをはめずテーピングで固定し試合に臨んだ。それでも両親や親戚が見守る前で「大好き」なヘディング弾をさく裂させた。

学法石川にとって決勝は「鬼門」。倉島が1年時の18年は尚志に0-1で敗戦。15年も尚志に1-1からのPK戦で涙をのみ、決勝に進めない時期も長かった。「小中学校時代もずっとここ(西部サッカー場)のスタンドで見てて学石は毎回負けて、その学石を勝たせられたのはうれしい」。自らのゴールで導いた。

稲田正信監督(43)は「粘り強くやって、いつかみんなで喜んでというのを毎日想像していた。OB含めて子どもたちの頑張りに尽きます」。チームの目標は「全国で勝つ」。待ち望んでいた航海がまもなく始まる。【山田愛斗】