Jの歴史に残る点取り屋がピッチを去った。今季限りでの引退を発表していたJ2ジェフユナイテッド千葉FW佐藤寿人(38)がシーズン最終戦・ギラヴァンツ北九州戦で途中出場。これまで同様、懸命にボールを追いかけ、勝利のために全力を尽くした。試合後のセレモニーでは「サッカーを愛するみなさん、これからも変わらずサッカーを愛していってください」と“らしい”言葉で現役を締めくくった。

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“永遠のサッカー小僧”は最後まで熱かった。佐藤寿は試合前のミーティングから「何とか勝って、みんなで笑って終えたいなと思って。仲間には『とにかく勝ちたいんだ』という思いを伝えました」という。試合終盤に尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督(47)から交代を告げられると、スタンドへ向けてガッツポーズ。2-1の後半39分からキャプテンマークを巻いてピッチに立った。

J1歴代2位の161得点を挙げた点取り屋はゴールこそならなかったが懸命にボールを追い、仲間を鼓舞した。今季なかなか勝てなかった本拠地での最終戦に勝利。引退セレモニーで「本当に幸せな21年間でした。丈夫な体に生んで育ててくれた両親に感謝したい。ありがとう」と話した。

優勝や数々の個人記録に彩られた選手生活。だが後悔はある。「ジェフをJ1に戻すことができなかった。そのためだけに18年ぶりに戻ってきたので」。ただ、若手には日々の練習からプロの厳しさ、結果の大事さを示し続けてきた。これはクラブのレガシーとして残る。

後半8分に勝ち越しゴールを決めたMF高橋壱晟(22)も、コーナーフラッグを握り、両手を広げる“寿人ポーズ”でリスペクトを示した。佐藤寿も「未来のある選手がクラブを変えていくしかない」と思いを託した。一足先にフロント入りした双子の兄、勇人氏(現クラブユナイテッドオフィサー)同様、今後も別の形で日本サッカーに貢献してくれるのは間違いない。【千葉修宏】

◆佐藤寿人(さとう・ひさと)1982年(昭57)3月12日、埼玉県生まれ。市原(現千葉)ユースから00年にトップ昇格。C大阪、仙台を経て05年に広島へ移籍。3度のリーグ優勝を経験し、12年にはMVPと得点王を獲得。名古屋を経て19年に千葉へ復帰した。日本代表では国際Aマッチ通算31試合4得点。元千葉のMF勇人は双子の兄。170センチ、65キロ。