「裏天王山」に臨んだ19位のベガルタ仙台は土壇場で2-2のドローに持ち込んだ。20位横浜FCとの降格圏直接対決。0-2の後半37分、FW西村拓真(24)がCKから高い打点のヘディングをたたき込み今季初ゴール。同ロスタイム、再びCK起点にDF吉野恭平(26)が加入後初ゴールとなる同点弾。敗戦こそ免れたが、クラブワーストを更新する開幕9戦未勝利(2分け7敗)となり、「呪縛」は解けなかった。

敗戦もちらつく状況で、吉野がチームを救った。1点を追う同ロスタイム、FWマルティノスが左CKをゴール前に入れ、DF平岡が頭ですらしてつなぐと、西村が左足でシュート。GKがはじいたこぼれ球にファーサイドで反応した吉野が右足で押し込んだ。しかし、副審がオフサイドを示す旗を上げ、主審がノーゴールの笛を鳴らす。仙台の選手たちは「ない、ない」のジェスチャー。その後、判定はビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)に委ねられ、検証の結果、得点が認められた。

吉野は得点を振り返り「ニアですらしたボールをファーで押し込む練習はやっていた。絶対にこぼれてくると信じ、入って良かった」。守備面では前半17分、CKで喫した先制点に触れ「前半のうちにセットプレーでやられるとゲームが難しくなる」と険しかった。

シュートは今季最多14本(前半5、後半9)を記録し、後半は猛攻を仕掛けた。同12分にスピードが武器の2人、マルティノスと新加入で合流8日目のFWオッティを投入。同点弾はオッティがCK獲得、キッカー・マルティノスの流れで生まれた。手倉森監督は「2点ビハインドになり、いずれもセットプレーだが、勝ち点1を拾えたのはかろうじての仕事」。2戦連続ドローを生かすために次こそ初勝利し、息を吹き返す。【山田愛斗】