ヴィッセル神戸は11日、元スペイン代表で主将のMFアンドレス・イニエスタ(37)と、23年まで2年の契約延長に合意したと発表した。この日、37歳の誕生日を迎えたレジェンドは、この契約延長で年齢的にも神戸でユニホームを脱ぐ可能性が高くなった。

バルセロナを退団したイニエスタは、神戸に18年5月に加入。丸3年が経過し、クラブは改めて同選手の実力、人気、周囲に好影響を与える人格面を評価。契約延長を打診し、このほど合意に至った。

この日、イニエスタは三木谷浩史会長(56=楽天会長兼社長)と都内で記者会見を開き、契約書の調印を行った。この模様はクラブの公式YouTubeチャンネルで生配信された。

三木谷氏は「3年間の契約だったが本日、新たに2年間の契約延長に合意したことを発表させていただきます。単なる2年間の延長ではなく、神戸がアジアNO・1になるために、イニエスタが継続的に参加し、引っ張っていく意味合いがあります」と説明した。

ジャケット姿で登場したイニエスタは「神戸の関係者、仲間、サポーターに本当に感謝している。私にとって特別な日で、(今後も)このプロジェクト(アジアNO・1などの目標)にかかわっていける。周囲から信頼、大切にされていると感じていることが何より大切。新たに始まる挑戦へ、3年前にここにきた熱い思いで2年間、プロジェクトにかかわることにわくわくしている」とコメントした。

イニエスタは昨年12月、右大腿(だいたい)部の腱(けん)が切れたことで手術し、年明けからはリハビリに専念。5月1日のサンフレッチェ広島戦とのJ1リーグ戦で今季初出場したばかり。実戦感覚を取り戻すため、公式戦3試合連続で後半途中から出場中だ。シーズン中の異例の会見だが、改めてイニエスタに敬意を示した形になる。

スペイン生まれのイニエスタは171センチ、68キロと小柄ながら、巧みなボールタッチやパスで攻撃を組み立てる世界一の天才司令塔。バルセロナでは欧州チャンピオンズ・リーグ(CL)優勝4度、公式戦通算674試合57得点の成績を残した。代表ではワールドカップ(W杯)4大会連続で出場し、10年南アフリカ大会では母国の初優勝に貢献した。

18年途中から初めてバルセロナ以外のクラブとなった神戸に移籍し、19年度にはクラブ創設以来初タイトルとなった天皇杯優勝、昨年はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)初出場ベスト4の立役者に。神戸の街、サポーターの応援に感謝する姿に圧倒的な支持を得てきた。推定年俸32億5000万円はJリーグ史上で最高額。