サガン鳥栖が好調だ。タレント軍団のヴィッセル神戸に引き分け、8試合連続負けなし(4勝4分け)で、国際Aマッチデーによるリーグ戦中断前の試合を終えた。

ここまで、18試合9勝6分け3敗で勝ち点33の4位。昨季の総勝ち点が36だったことを考えると、大躍進と言える。

この日も勝機はあった。前半1分。ボールを奪ってから人数をかける速攻で、相手守備を翻弄(ほんろう)して先制点を奪った。今季は先制した試合は強く、前節まで9試合8勝1分け。点を奪ってからは、J1最少失点の組織的な堅守で逃げきる得意の形に持ち込んだ。

同点に追いつかれはしたが、金明輝監督は「去年の結果からすればいいと言えばいいしフィフティー、フィフティー。選手はよくやってくれている」と18試合を前向きに振り返る。だが一方で「上位を争う意味では、ここで勝ちきらないといけないと感じる。引き分けを勝ちに持ってこないと、どんどん上と離されて行くんだろうなと思います」と、シビアな面ものぞかせた。

後半戦が勝負となることは選手も分かっている。神戸戦で今季2得点目の先制弾を決めたMF仙頭啓矢は「シーズン前から周囲の評価以前に、自分たちの中ではやれる自信があって結果になっている。これから分析されても自分たちのサッカーができるよう、しっかりこだわって行きたい」と、さらなる飛躍を誓った。

20年度決算は債務超過と厳しい経営が続く。そんな中で、大型補強ができない分、ユースからの昇格組など若手の活躍や、戦術がかみ合い好転をもたらしている今季。開幕前、降格候補にも挙げられた鳥栖がJ1戦線に一石を投じている。【菊川光一】