川崎フロンターレが29日のヴィッセル神戸戦に3-1で勝利して、J1では9年ぶりとなる「3試合連続の逆転勝ち」を収めた。前半は神戸FW大迫に苦戦したが、1点を追う後半からの立て直しは見事だった。

後半のキックオフとともに、アクセル全開で敵陣に攻め込んだ。開始17秒で左サイドを突破したFWマルシーニョのクロスを起点に、最後はMF脇坂がシュート。6分には脇坂のスルーパスにMF家長が反応して決定機を迎えたが、惜しくも神戸GK飯倉の好セーブに阻まれた。

そして8分、マルシーニョの突破でPKを獲得した。大いに沸く会場の期待を背負い、ペナルティースポットにボールを置いたのは家長。9分、左足で狙ったが、左ポストに直撃して同点とはならなかった。

2戦連続逆転勝ちと好調だった川崎Fもここまでか、と思った。だが1分後の10分、DF山根のクロスが相手の手に当たり、川崎Fは再びPKのチャンスを獲得した。

2度目のPKはFWレアンドロ・ダミアンが狙い、プレッシャーのかかる場面でど真ん中に蹴り込んだ。同点弾だったが、試合を左右する大きな1点だった。「自分たちに流れが傾いている時間帯に、2回もPKを外した」となれば、その後の試合展開に悪い影響が働いただろう。PK失敗直後に再びPKを獲得して、それを決めた-。この3分間の出来事が、試合を分けたように思う。

3分間で2度のPK獲得という珍しい展開に、会場の等々力は異様な盛り上がりを見せた。主審がオンフィールドレビューなしですぐにPKの判定を下したことも、大きかっただろう。そしてスタンドの熱気をエネルギーに変えて、川崎Fは逆転勝ちを収めた。やはり王者は勝負強い。【杉山理紗】