常勝軍団・青森山田が、3大会ぶりの「王座奪還」を果たした。2年連続で涙をのんだ“鬼門のファイナル”で、大津(熊本)に4-0で完勝。前半37分、藤森颯太(3年)の左CKからDF丸山大和(3年)が、得意のヘッドで2試合連続となる先制弾を突き刺した。守備でもセンターバック(CB)の一角として躍動。相手のシュートを「0」に封じた。目標に掲げていた昨夏の全国高校総体、プレミアリーグEASTとの高校年代「3冠」実現で大団円を迎えた。

   ◇   ◇   ◇

【スコア詳細】全国高校サッカー決勝詳細ライブ>

優勝のかかった大一番。“持ってるイケメン”が、「4発快勝劇」の号砲を鳴らした。0-0の前半37分、丸山は藤森からのCKにニアに飛び込んだ。相手のマークを振り切って、頭でゴールネットを揺らした。流れを呼び込む先制点だ。「よっしゃー!」と雄たけびを上げ、渾身(こんしん)のガッツポーズで喜びを表現。16年ぶりに制した全国高校総体の決勝でもヘディングで2ゴール。ここぞの大舞台で勝負師の血が騒いだ。

丸山 質の良いボールが入ってくるので信じて飛び込んでいる。大舞台で実力を発揮して決めきれるのが、自分の得意なところ

反骨心が自分を成長させた。今大会5試合で4ゴールの大暴れ。華々しい結果を残したが、その道のりは険しかった。昨季はほとんどの期間をBチーム(2軍)で過ごし、常勝軍団の選手層の厚さに立ち位置を見失うこともあった。春先からはスタメンに定着するも、力のなさを痛感する日々。丸山はこう振り返る。「(黒田剛)監督からも、チームの仲間からも守備は怒られっぱなしだった。その悔しさを強さに変えることができたと思います」。めげずに努力を積み重ね、誰もが認める選手にまではい上がった。

尊敬する人の前で成長した姿を届けた。スタンドには前主将でJ1浦和レッズからJ3SC相模原に期限付き移籍中のDF藤原優大(19)が応援に駆けつけていた。丸山は「尊敬できる先輩で、優大さんが(青森山田に)いる2年間は吸収できるものを観察して、自分のものにしようと思ってやっていた」と、その背中を追いかけ、CBのいろはを学んだ成果を発揮した。

全国高校総体、プレミアリーグとの青森山田史上初の「3冠」を達成した。「3年間の集大成として、チーム全員で戦った結果だと思います」。2大会連続あと1歩のところで悔しさを味わった。幾多の試練を糧に、記念すべき100回大会を最高の形で締めくくった。【佐藤究】

【高校サッカー選手権】勝ち上がり表はコチラ>

【高校サッカー選手権】歴代優勝校はコチラ>

◆高校3冠 青森山田は全国高校総体、高円宮杯U-18プレミアリーグ東地区との3大タイトルを制覇。総体と選手権の2冠は15年度の東福岡以来6年ぶり5校目(7度目)だが、11年度にスタートしたプレミアリーグを含めた「3冠」は初。同リーグの前身の全日本ユースを含めると、97年度の東福岡以来24年ぶりとなる。選手権と総体に国体を合わせた「3冠」は66年度の藤枝東、69年度の浦和南、00年の国見(長崎代表)が記録している。

○…青森山田OBで早大MF安斎颯馬(1年)が後輩たちを祝福した。優勝の瞬間は国立競技場の観客席から見届けた。「自分たちが成し遂げられなかった選手権にプラスし、3冠を達成してすごいですし『おめでとう』と言いたいです」。昨年度の選手権決勝では一時勝ち越しのゴールを決めながらも、PK戦で失敗。悔し涙を流していた。「PK戦で敗れ、崩れ落ちた瞬間を思い出しましたし『勝つことっていいな』と改めて思いました」。自身は「後輩の優勝は刺激になったし、力に変えて頑張りたい」。早大での活躍を誓った。