清水エスパルスが3季ぶりの「静岡ダービー」でジュビロ磐田を破り、今季初勝利を挙げた。前半9分、カウンターからFW鈴木唯人(20)が先制点。札幌との開幕戦に続く2試合連続ゴールを奪った。クラブの日本人選手に限れば、開幕2戦連発は1996年の元日本代表MF沢登正朗氏(52、現清水ユース監督)が記録して以来、26年ぶり2人目の快挙。歴史に名を刻む1発で宿敵撃破に貢献した。

    ◇    ◇    ◇  

清水に神童が現れた。前半9分、鈴木唯は一瞬の隙を突いた。敵陣でのボール奪取からカウンターを発動。味方からのパスに抜け出した。顔を上げると「ビックリするぐらいフリーだった」。ハーフライン付近からゴール前まで一気に突進。打つ瞬間はスピードを緩め、冷静にゴール右隅を狙った。静岡ダービーは自身初出場。「独特の雰囲気を感じた」と振り返った伝統の一戦でクラブ史に名を刻む1発をたたき込んだ。

日本人選手では沢登氏以来、26年ぶりとなる開幕連発。クラブ最多85得点を挙げているレジェンドに肩を並べた。札幌との開幕戦(1△1)では後半に同点弾を挙げるも、素直に喜べなかった。「結局試合には勝てなかったから」。この日も結果を求めてピッチに立った。「自分はやれるんだ」。自らを鼓舞しながら、チームを勢いづける先制点を奪った。

2024年パリ・オリンピック世代の有望株は先月の日本代表合宿に初参加し、自信をつけてチームに戻ってきた。向上心があるからこそ、満足もしない。数的優位となった終盤の決定機を決めきれず、試合後は反省も口にした。「まだ1回勝っただけ。チームを助けられるようなプレーをしていきたい」。覚醒した20歳の勢いは止まりそうにない。【神谷亮磨】

◆清水のJ1開幕連発記録 過去にシーズン開幕戦から連続得点を挙げた選手は5人。鈴木唯はクラブ史上6人目で、2006年の元韓国代表FWチョ・ジェジン以来、16年ぶりとなった。チーム最多は3試合連続で、1993年のトニーニョ、2002年のバロン、03年のトゥットが記録している。ちなみに連発中の1試合あたりのゴールは、すべて1得点ずつ。