バロンドールを目指すパリ五輪世代が躍動した。札幌が京都を4-1で下し、C組首位タイに浮上した。高卒2年目の188センチの大型FW中島大嘉(19)が2発を決めた。1-1の後半22分に勝ち越し弾、3-1の同43分にダメ押し弾を、ともにヘディングで奪った。今季公式戦初先発に発奮し、チームに今季ホーム初勝利をもたらした。J1歴代通算最多191得点の記録を持つFW大久保嘉人氏(39)の国見高の後輩が、存在感を示している。

【ルヴァン杯】1次リーグ勝敗表はコチラ>>

初めての本拠地でのヒーローインタビューに登場した中島は笑顔が止まらなかった。2年目で札幌ドーム初得点。歓喜の中心で「めっちゃうれしかったです」と喜んだ。毎試合前、お立ち台に立つイメージトレーニングをする。だが実現すると「うまく話せなかった」と反省する姿も愛くるしかった。

強みを生かした高い打点でのヘディングシュートだった。1-1の後半22分、左クロスに跳んだ。相手守備2枚に挟まれながらも、高さで勝った。3-1で迎えた同43分にも右クロスから、たたきつけた。「どちらも得意なかたちで取れた。クロス上げてくれた2人に感謝です」とうなずいた。今季公式戦6得点中5得点を頭で奪っている。「足でも決めたい」と意欲を高めた。

20年8月に加入内定が発表された時のクラブを通じてのコメントから衝撃的だった。「最終目標はバロンドールをとることです」と世界一を宣言。度胸も満点で、キャンプでのトレーニングでMF小野の隣をゲットして天才から吸収する姿勢も忘れない。昨季より成績を上げているが、過去の自分より「20歳の時の(バイエルン・ミュンヘンFW)レバンドフスキと比べられるようになりたい」と視線の先には常に世界のトップ選手がいる。

国見高出身。伝統の丸刈り頭は、母校への愛着とプライド。卒業後も継続している。ルーキーイヤーの昨季「10点取ったら髪を伸ばす」と公言していた。自分にプレッシャーをかけるためでもあった。この日、公式戦でプロ通算10点を達成した。だが「シーズン10点でもいいかな。(丸刈りが)名残惜しい」と長髪デビューを見送った。

名前の由来は国見高で大久保氏の1学年上だった父優さんが「嘉人より大きくなって欲しい」の願いを込めて。「もっともっと3点4点取れる試合を増やしてJリーグ得点王争いに絡めていけるように」と中島。ルヴァン杯は4得点で首位タイに浮上した。さらなる成長が期待できる大器であることは間違いない。【保坂果那】

◆規格外の中島大嘉伝説?

▽ハーランド? ドルトムントのノルウェー代表FWのパワフルなプレーに、その姿を重ね合わせる声もあるが、本人は「和製ハーランドじゃなくて地球製中島大嘉って言われるように頑張ろうって思った」。

▽ウェア? 4月7日に、浦和戦(同2日、札幌ドーム)での迫力満点のプレーをJリーグ公式ツイッターが動画とともに紹介。その中で、「ヘディング、ダッシュ、二人をなぎ倒す…(中略)ジョージウェアばりのスケールがデカすぎる迫力追っかけ」と、あのリベリアの怪人、現同国大統領にたとえてしまう。

▽バロテッリ? 背番号45は、ピッチ内外で規格外のプレーをみせるあのイタリアの悪童を思い起こさせる。4+5がストライカーの象徴9番になることなどが本家がこだわる理由だが、中島はもっとシンプル。札幌の公式サイトによると「45って、なんかかっこよくないですか」。

 

◆中島大嘉(なかしま・たいか)2002年(平14)6月8日、W杯日韓大会の1次リーグの期間中に大阪府で生まれた。小学時代はアイリスFC住吉、中学はリップエースと大阪のクラブから、長崎・国見高へ。昨季はJ1リーグ3試合0得点。ルヴァン杯4試合1得点。50メートル走は6秒0。188センチ、77キロ。