アルビレックス新潟は東京ヴェルディとの激闘を4-3で制し、ホーム7連勝で今季初めて首位に立った。3-3の後半43分、後半途中出場のFW矢村健(24)が投入から2分後に左足でロングシュートを決め、乱打戦に決着をつけた。右MFで先発した松田詠太郎(20)は前半だけで1得点2アシストの大暴れ。後半に3点リードを追いつかれながらも、しぶとく勝ちきったチームは4月以降8戦6勝2分けと負けなし。次節15日はアウェーでFC町田ゼルビアと対戦する。

「持ってる男」が、利き足と逆の左で、スーパーゴールをたたき込んだ。3-3の後半41分からピッチに入った矢村はその2分後、MF島田譲(31)から縦パスを受けると、ペナルティーエリア外から左足を一蹴。アウト回転のかかったシュートは左ポストに当たってから、ネットを揺らした。前半だけで3点リードと楽勝ムードが漂う中、後半20分までに追いつかれる重苦しい展開に「俺のための展開(笑い)。『俺が全部を持っていく!』とリラックスしてピッチに立った。自分を信じて打った。しびれた」と笑顔を見せた。

今季初ゴールは、ひたむきな努力の結晶だ。矢村は第3節ホーム・レノファ山口FC戦(3月5日)に先発出場も、不発。その後はベンチ入りとベンチ外を繰り返した。結果を残せない自分にふがいなさを感じながらも、くさらずに練習を続けた。「短い出場時間だったが、これまでの悔しさをぶつけようと思った。ゴール後はみんなにつぶされて覚えてないです」。

毎日、シュート練習に付き合ってくれる田中達也コーチ(39)からの助言も生きた。第11節ホーム長崎戦(4月23日)から始まった5連戦中の紅白戦で、矢村は同じようなシーンでパスを選択し、チャンスを逃していた。「達さんから『思い切り振れ!』と言われた」。昨季の第9節アウェー栃木SC戦(21年4月21日)でオーバーヘッドを決めるなど思い切りの良さが持ち味。自身の売りを再確認させてくれた田中コーチからは試合後、「言った通りだろ。ナイスシュート」と声を掛けられた。

乱打戦を制し、4月以降8戦負けなし。勝ち点を29に伸ばし、得失点差で横浜FCを追い抜き、首位に躍り出た。「今日のゴールで自分はやっとスタートに立てた。次に向け、チームで出た課題をしっかり修正したい」と次節、町田戦に気持ちを切り替えた。【小林忠】

○…MF松田も「左足」だけで1得点2アシストの活躍。前半27分、MF高木善朗(29)の先制点を低クロスで演出すると、同30分には深い切り返しから今季2点目をゲット。同35分には左CKの流れから鋭いクロスをDF舞行龍ジェームズ(33)の頭に合わせた。「昨年から練習している形(左足)が出せた。(得点シーンは)パスが来たら打とうと思っていた。このまま勝ち続けて、下位との差を広げていきたい」。