セレッソ大阪は9日、4月に規律違反などを起こした元日本代表MF乾貴士(34)と同日付で双方合意の下、契約を解除したと発表した。全処分が終わった5月16日以降も全体練習に合流せず、途中退団の方向で調整していた。

この日、記者会見した森島社長は「(離脱して2カ月以上の)時間が空いていく中で(乾は)現場に戻るタイミングを決断しきれなかった」と説明し、「今後、サッカー界でまだまだ活躍されることを願っている」とコメントした。

4月5日柏戦の後半に途中交代を命じられた乾は、ベンチでスタッフに暴言を吐くなど、試合後も同様の行為があった。クラブは謹慎期間中の2試合を含め、計8試合の公式戦出場停止処分と、5月14日までの全体練習参加禁止を言い渡していた。

乾は昨年8月に欧州から10年ぶりに古巣復帰。今季はエース背番号「8」をつけ、副主将に就任したばかり。クラブを通じて「1度C大阪との関係をリセットすることが、お互いにとってのよい選択という結論になりました」とあいさつした乾は7月以降、他クラブへの移籍を目指すことになる。

◆乾貴士(いぬい・たかし)1988年(昭63)6月2日、滋賀県生まれ。野洲2年時に全国高校選手権優勝。横浜を経て08年6月に当時J2のC大阪へ。11年8月にボーフムに渡り、その後はスペイン1部エイバルなどに所属し、21年8月にC大阪復帰。18年W杯ロシア大会は2得点でベスト16に貢献、国際Aマッチ通算36試合6得点、J1通算67試合13得点(今季5試合3得点)。169センチ、63キロ。

【C大阪乾の問題経過】

▼4月5日 柏戦の後半途中に交代する際、スタッフに暴言を吐くなど、試合後も同様の行為をする。

▼同10日 クラブは6日から乾に当面の謹慎処分を科したことを公表。練習場への立ち入りを禁止、同日の神戸戦はベンチ外。

▼同13日 森島社長が「規律(違反)を重く受け止めている」と初めて問題に言及。同日のルヴァン杯鹿島戦もベンチ外に。

▼同14日 クラブが最終処分を発表。チームの規律、秩序を乱す行動が確認されたなどとし、今後公式戦6試合の出場停止(既に2試合欠場し、計8試合)に。この日から練習場への立ち入りは許可されるも、全体練習への参加は引き続き禁止。

▼5月14日 名古屋戦をもって全処分が解除。

▼同16日 全体練習再開の日に乾は不参加。

▼同17日 クラブが乾の体調の問題で当面の全体練習不参加を公表。

▼同19日 森島社長が乾との面談を実施も物別れに。

▼同28日 森島社長が会見で「すっと(チームに戻るの)は、なかなか難しいものがある」と説明。

▼6月9日 来季も残る契約を途中解除すると発表。