青森山田前指揮官の黒田剛監督(53)率いる首位FC町田ゼルビアが、後半ロスタイムの2発で劇的勝利を飾った。アウェーで14位千葉に2-0で勝利し、2試合ぶりの白星。通算成績を13勝3分け3敗とし、勝ち点を「42」に伸ばした。

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黒田マジックがさく裂した。試合終了の笛が鳴ると、指揮官は両手を力強く突き上げた。ともに後半途中出場したFW2人の今季初ゴールが値千金弾。0-0の後半ロスタイム1分、FW沼田駿也(24)がFWエリキ(28)の頭での折り返しを右足で押し込み、均衡を破る。さらに同ロスタイム6分、エリキのグラウンダーパスをFW藤尾翔太(22)が右足で合わせた。2ゴールの起点になったのも後半途中出場のFW荒木駿太(23)。黒田監督はヒーローたちをこう労った。

「交代で入った沼田、藤尾はこのリーグの初ゴールになりますので、そういう意味では交代選手たちがよく頑張ってくれたなという印象です。決して連敗をしないというところで言えば、ここで1で止めてくれたことはすごく大きいし、その思いを選手たちがピッチで表現してくれて感謝したいと思います」

前節5月28日の徳島戦は1-2で逆転負けし、7試合ぶりの黒星を喫した。今季初の連敗を阻止するとともに、勢いをさらに加速させる結果となった。

試合を通して決定機をつくれない時間が続いた。それでも守備陣が踏ん張り、勝ち点3につなげた。GKポープ・ウィリアム(28)が好セーブを連発。黒田監督の青森山田時代の教え子、DF藤原優大(20)は2試合連続で先発フル出場。藤原はDFチャン・ミンギュ(24)とのセンターバックコンビで、今季チーム10試合目の完封を達成した。

難しい一戦だった。千葉は通算3勝6分け7敗と苦手な相手。18試合で4得点2アシストと好調で、欧州遠征に臨むU-22日本代表に初選出されたFW平河悠(22)が、前節の退場で出場停止となった。守備の要のDF池田樹雷人(26)も負傷の影響で欠いた。

黒田監督は「90分通してGK含めたDF陣が体を張って、はね返し続けてくれたこと、町田が勝つためのすごくいい状態を90分間しっかりと執行してくれて、その成果が最後に実を結んだ」と勝因を挙げた。5月26日に誕生日を迎えた指揮官にとっては、53歳初勝利は劇的なものとなった。【山田愛斗】