宮崎市での第3次キャンプ2週目に突入したベガルタ仙台が14日、連係を中心としたトレーニングやミニゲームに臨んだ。

プロ2年目を迎えるMF工藤蒼生(23)が今季の目標に「3ゴール以上5アシスト」を掲げた。1年目の昨季は23年新加入のフィールド選手で唯一、リーグ戦の出場機会に恵まれなかった。だが、悔しさを糧に大きな成長を遂げた今季、レギュラー奪取に闘志を燃やす。

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「去年は決して無駄ではなかった」。これまで守備を中心としていた工藤蒼だが、今季は攻撃につながるパスを意識。攻守での活躍を目指す。さらに、昨季はさまざまな位置でプレーをしていたが、今季のキャンプでは本職のボランチでプレー。「自分のポジションで良いプレーが出来ている」と手応えを実感。好調の要因はリーグ戦の出場機会に恵まれなかった昨季にあった。同期入団が活躍する中、悔しさを抱えながら自主練に励む日々。だが、この努力が身を結び、キャンプでの好感触につながった。「悔しさの中でやってきたことが生かされて、自分に足りなかったものが補えている」と胸を張った。

工藤蒼は高校まで仙台アカデミーに所属。狭き門であるトップチームへの昇格はかなわなかったが、「絶対に仙台に戻ってきて恩を返す!」と強い信念を抱き、大阪の阪南大へ進学。その言葉通りに4年間を経て仙台へと帰ってきた。「(仙台は)なくてはならない家族のような存在。仙台がなければピッチ内外でも成長は出来なかったし、今の自分もいない」と、憧れのチームでのプレーに日々、喜びをかみしめながら成長を遂げている。

さらに、今季から背番号を「17」に変更。これは2005年にプロ入り後、18年間、仙台一筋でプレーし、現在は仙台クラブコミュニケーターを務める富田晋伍氏(37)が現役時代につけていた番号。アカデミー時代から大きな背中を見てきた工藤蒼は「“17″を背負うにあたって晋伍さんを目標に、さらに超えられるような選手になりたい」と気合と覚悟を示した。幼少期から見続けてきた仙台ホーム、ユアスタの景色。これまで多くの感動を受けてきたチームでプロの夢をかなえた工藤蒼が、今季はピッチから勝利へと導く。【木村有優】