Jリーグ元年の93年5月15日の再現となった東京V-横浜の国立開幕戦は、横浜が土壇場の2ゴールで2-1の逆転勝利を収めた。後半44分にFWアンデルソン・ロペスのPKで追いつくと、ロスタイムの後半48分にDF松原健が左足でミドルシュートをたたき込み、31年前と同じ結果となった。東京Vが16季ぶりにJ1へ復帰。Jリーグ生みの親で元チェアマンの川淵三郎氏も訪れた中で黄金カードは実現した。昔と変わらぬ大熱戦に5万3026人の大観衆は沸きに沸いた。

待ち焦がれた「ナショナルダービー」は、あまりにも劇的な幕切れとなった。1点を追い攻勢をかけた横浜。後半44分に相手ハンドのPKで追いつくと4分後、松原の左足シュートが鮮やかにゴールに決まった。31年前も東京Vに先制されたが、2ゴールを奪い返して2-1の逆転勝ち。くしくも当時と同じ展開となった。加えてJリーグ元年、93年生まれのA・ロペス、松原がゴールしたのも何かの縁か。気温5度という真冬の国立は、当時の高揚感さながらの熱気にのみこまれた。

見守った誰の胸にも、30年分の思いが詰まった一戦となった。試合直前に元チェアマン、87歳になる川淵氏が国立の舞台に立った。電光掲示板には31年前の「大きな夢の実現に向かってその第1歩を踏み出します」という開会宣言の映像が流れた。それを受けてのスピーチの途中、感極まり涙し言葉に詰まった。胸に去来するものがあった。

横浜の先発メンバーにはMF水沼宏太がいた。31年前の国立開幕戦で同じく横浜の主力選手としてフル出場した水沼貴史氏を父に持ち、当時3歳でスタンドから声援を送っていた。34歳のベテランは「同じような状況でピッチに立ち、同じスコアで終われたのはおもしろいなと思いました。たくさんの歴史を築いてくれた方々に感謝したい」。

一方、父もこの試合に解説者で立ち会った。黎明(れいめい)期のJリーグを思い出し感無量の面持ち。「巡り合わせにびっくり。劇的すぎます。いろんな思い出がよみがえり、そこに宏太も出ていて…うれしかったです」。何よりJリーグがここまで発展したことに喜びがある。「川淵さんのメッセージに感動しました。川淵さんがつくってくれたこの土台を、新たな世代が受け継いでいかなければいけない」と話し、言葉の1つ1つをかみしめた。

そして日本代表の森保監督も同じ。両チームの意地と意地が激しくぶつかった試合に当時と変わらぬライバル関係を見ていた。と同時に自らの人生をも振り返った。「サッカーで飯が食っていけるというのを夢見ていたこと、それが実現したのがヴェルディ対マリノスの1993年のあの開幕戦でした。そこは特別な思いがあります」。

20年後、30年後にも世界に誇れるJリーグヘ。2024年2月25日、国立競技場に新たな歴史の1ページが刻まれた。【佐藤隆志】

◆Jリーグ開幕戦 1993年5月15日、国立競技場でヴェルディ川崎(読売クラブ)と横浜マリノス(日産)が、開会セレモニーに続いて対戦した。チケットは抽選方式、NHKの視聴率は32・3%と国民的な関心事となった。試合は前半19分にFWマイヤーのゴールで川崎が先制したが、後半にMFエバートン、FWディアスのゴールで横浜が2-1と逆転勝ち。26歳だった川崎FW三浦知良(カズ)はフル出場。川崎DF加藤久、都並敏史、横浜MF木村和司、水沼貴史ら不遇の時代を支えてきたベテランは、涙で試合に臨んだ。

93年J元年の伝説開幕戦、展開もスコアも再現 横浜が終盤逆転で勝利、東京V及ばず/ライブ詳細

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