セレッソ大阪MF奥埜博亮(34)の“開花”は、13日の川崎フロンターレ戦(ヨドコウ)か。

開幕7戦無敗(4勝3分け)の3位で快進撃を続けるC大阪。その中で全7試合にインサイドハーフで先発を務める奥埜は、ここまで決定機もありながらノーゴールが続く。苦悩はもちろん、ある。

「そうですね…正直言えば、得点とかアシストがまだないので、そこで貢献できるのが一番。僕は周囲の選手が気持ちよくプレーできるようにしたい。その中で自分も生かしてもらい、自分もゴールしたい」

10日の公開練習後、愛称「オックン」こと奥埜は、現在の心境を明かした。

19年に仙台からC大阪に移籍。近年こそMFでの出場が多いものの、抜群の運動量、小回りの利く器用さを武器にFWの役割も果たし、この4年間で23得点を重ねた。

移籍1年目の19年は、開幕10戦目のシーズン初得点だったが、20年は2戦目、21年は8戦目、22年は4戦目、23年は開幕戦でゴールを挙げ、期待に応えてきた。5年目の今季は、開幕8戦目となる川崎F戦で今度こそ今季初ゴールを狙う。

「今、チームが勝てているのが唯一、自分としての救い。ゴールは狙いつつ、チームが勝つこと。その中で1試合に1回はチャンスが来ているので、決めきれるようにと、その数をもっと増やしていけるようにしたい」

昨年7月に右膝を手術。今季は試合を重ね、動きはより鋭く、スムーズになってきた。実際に第5節湘南戦、第7節新潟戦は途中交代しながらも、走行距離はチーム1位を記録した。仲間との距離感を整え、潤滑油になり、スペースに進入する動きを見れば、奥埜の初ゴールも近いと分かる。

札幌から今季移籍してきたMF田中駿汰(26)は、大ベテランの動きに驚く。

「ずっと走っていて、仲間はみんな、めっちゃ助かっています。頼りっぱなしではだめだけど、試合になると『今日もオックン、走っているんやろな』という感覚で見ています」

バロメーターである走行距離について、奥埜は「走らないで勝つのが一番」と冗談をまじえつつ、「攻守ともにチームを助けられたらいい。(距離は)個人的にはあまり気にしていない」という。

地味な貢献を重ねて、毎年のように陰のチームMVPと評される男は、花見シーズンの最終盤で開花といきたい。